Carnivore deer 3



くちゅ、と私の中から抜かれた指に絡む体液を見つめる。
涙の溜まった目で呆然とその様子を見つめていたら、悪戯っぽく笑う嵐くんと目が合った。

「今、イきそうだっただろ」
「え…?」

そうなのかな。
確かに頭の芯が痺れて何も考えられなくなっていたけど、初めてのことなのでよく分からない。身体の疼きは全然収まらないし、握ったままの嵐くんのは熱くて脈を打ってるし、なんだか物足りない感じがする。
はあはあとさっきから煩いのは私の吐く息で、手は無意識に嵐くんのを撫で回している。
早く欲しい。
なんでもいいから、この中途半端な状態から解放してくれるもの。ジンジン痺れているところを掻き回してくれるものが欲しい。
我慢ができなくて身体を嵐くんに密着させてキスをねだると、ゴクリと嵐くんの喉が鳴った。

「…おまえ、ホントエロい」
「あ…」

たくし上げられていた服を脱がされ、ショーツも脱がされる。
今更ながらここがどこだかを認識してしまい、ただでさえ赤かった顔が更に赤くなっていく気がした。
こんな、神聖な柔道部の部室で一糸纏わぬ姿で、なおかつ嵐くんの上に跨ってるなんて正気の沙汰とは思えない。強制をされたわけでも拘束されているわけでもない。降りて、服を着て、逃げ出すことだってできるのにそうしないのは、私の意志。
嵐くんが欲しくて溜まらない、エッチな私が望んでいることだ。

「…あの、嵐くん、」
「ん?」
「も、い、れて…?」
「いいんか?あんなに嫌がってたのに」

分かってて意地悪なことを言う彼のものをきゅうと握り締める。途端に嵐くんの表情が焦りに変わり、私の手をソレから引き剥がした。

「あ、」
「あぶね、出るとこだった…」

手を掴まれたままぼうっと様子を眺める。
もうダメ。
全然我慢なんて出来ない。
腰は勝手に揺れるし嵐くんの唇は美味しそうに見えるし、私どっか壊れちゃったのかも知れない。ちゅ、とリップ音を鳴らして嵐くんの唇にキスをして、腰を前に寄せる。ぐっしょりと濡れた部分に嵐くんのモノが当たって、またお腹の奥がキュンと鳴った。

「嵐くん、お願い…っ」
「…おまえ、ホントに…。あーもうわかった、力抜け」

掴まれていた手を首に回すと、嵐くんが私の腰を両手で支える。少し浮かしてから入り口に宛がうと、ゆっくりと身体を沈めさせられた。ぎちぎちと少しずつ埋め込まれていく。引き裂かれているような痛みの方が強くて、ぶわっと汗が噴出した。

「ひ、いあ、うぅぅーっ」
「ほらみろ…平気か?」

大丈夫だと小刻みに頷いてみるけど、ホントは凄く痛い。
背中をあやす様に大きな手が摩ってくれてるけど、なんかそれもぞわぞわする。暫く嵐くんにしがみ付いた状態でいると、少しずつ痛みに慣れてきたみたいだった。
変わりにさっきまで収まっていた疼きが徐々に広がってきた。

「も、へいき…」
「よし、動くぞ」
「ん、あ、ああっ!」

少し嵐くんが身体を上下に動かすだけで、脳天まで突き上げられたような衝撃が走る。意識まで持っていかれそうになるのを、しがみ付いて堪える。それでも全然ダメで、ガンガンと奥を突かれるたびに目の奥がチカチカした。
なにこれ、こんなの知らない。
痛いだけじゃない、ぞくぞくする様な感覚がする。こんなに気持ちよくて、でも自分じゃどうしようもできない快感が血液と一緒に全身を巡っているみたいで怖い。ぐちゅぐちゅと聞こえる音も、嵐くんの汗の匂いも、彼の息遣いも全部がいっぺんに襲ってくる。
気が付けば自分でも腰を振って、身体の中の更にいいところに当たるように誘導していた。

「みなこ、キツイ。…力抜けって」
「だ、わかんな…、あん、あ、っ」
「なあ…顔、見たい。ちょっと手離せ」

しがみ付いていたのを引き剥がされて、繋がったままマットの上に寝かされる。ぐっと膝が胸に付きそうなくらいに身体を折り曲げられて、繋がっているところが見えた。
真っ赤に充血したそこが、嵐くんを飲み込んでヒクヒクしている。
思わず顔を逸らして腕で覆うと、すぐに手を取り上げられてしまった。

「隠すな。見たいって言ってるだろ」
「ヤダ、これ、恥ずかしい…!」
「今更だろ。おまえスゴイエロい顔してるぞ」

そ、それって一体どんな顔なの…!
もう余計に顔見れない。イヤイヤと首を振っても嵐くんは逃がしてはくれず、大きく足を開かせたまま再び動き出す。さっきとは違う角度でまた内部を擦られている上に、顔までしっかり見られているのが恥ずかしくてたまらない。
それなのにどんどん気持ちよくなってく。
嵐くん以外何も感じられなくなる。
快感が波のように押し寄せてくる。また何も考えられなくなって、きゅうきゅうと嵐くんを締め付けだす。

「あっあっ、も、イ…っちゃ、う…っや、ああ―――っ!!」
「は、俺も、限界…、っく!!」

勢いよく奥を突かれて背中が仰け反る。
そのままびくびくと痙攣すると、急速に嵐くんのモノが引き抜かれた。それからすぐに太ももに熱いものが浴びせられる。起き上がる力もなくて確認はできなかったけど、多分嵐くんも達したんだろう。
嵐くんの息と私の息が部室に響く。
ゆるゆると窓の外を見てみると、すっかり暗くなってしまっていた。




帰り道を手を繋いで歩く。
海岸沿いはもう真っ暗で、街灯の明かりと車のライトが眩しい。
私も嵐くんも黙ったままで、それでもゆっくりと歩くのがなんだかくすぐったかった。
マッサージは結局ちゃんとしてあげられなかったけど、また明日な、って笑って許してくれた。
だるくてまだちょっと痛くて、変な歩き方になってないか不安だけど、そんなことを気にするのも変でついにやけてしまう。私、やっぱりどっか壊れてるのかも。

「…何笑ってんだ」
「え、べ、別に何も?!」

ダメだ、絶対怪しい、今の私。
部活が終わるまでは苦しくて悲しくて嫌な気持ちでいっぱいだったのに、両思いになれた途端に舞い上がってる。本当、単純だと思う。
…じゃあ、やっぱりあの告白断ったのかな。
今は考えないでおこう。嵐くんはちゃんと私のことを好きだって言ってくれて、え、えっち、までしちゃったんだから。なんかもう、充分過ぎる気がする。

「…変なやつ」

言い方はぶっきらぼうだったけど、私を見つめる嵐くんの目はすごく優しかった。




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