昼下がりの情事 2



大体コウくんのやり方はねちっこいと思う。…他の人としたことがないから、普通がどんなのかは分からないけど。
三年生になって気色ばむことも少なくなったけど、その分、私で発散されているような気がしてならない。一回始めると何回も何回もするからいつも体がもたなくて大変なのに、コウくんはお構いなしなんだもの。
それでもいつも優しくて、時々暴走しちゃったりもするけどちゃんと労ってくれる。

「みなこ」
「…あ、こうくん、すき」

コウくんに名前を呼ばれるのが好き。
コウくんに触れられるのが好き。
ぎゅってしてくれる手が、低くて心地いい声が、優しく細められた目が、大好き。

「すき、大好き」
「ああ…俺も」

好きだと、耳元で小さく囁く。
それだけで背筋がゾクゾクしちゃう。
コウくんは着ていたシャツを脱ぎ捨てて、私のスカートを避けて下着の中に手を入れた。そこはすでにじっとりと潤っていて、コウくんの指を簡単に飲み込む。中を掻き回すように数回、擦るように何度も、太い指が余すとこなく晒していく。
ぐちゅぐちゅと指を出し入れされると、嫌でも腰が動いてしまう。

「はっ…エッロ…」

指を引き抜いて、絡み付く愛液を見せつけられる。トロトロと糸を引くそれは、彼からけして離れまいと必死になっている私自身みたい。
コウくんはそれを舐めとると、下着を取り払ったそこに唇を寄せた。

「やっ、それだめ…ひあっ!!」

左右に肉ひだを開いて舌を差し入れられる。スカートだけ着たままだから様子は分からなかったけど、見えてても見えなくても頭が認識してくれないと思う。
嫌なのに気持ちいい。
毎回体を重ねる度に感じる、変な感覚。

「ア、はァっ、んくっ」

指でするよりも生々しくて、水音が響く。
一度舌を抜いて、また噛みつかれた。食むように柔らかく挟み込んでから引っ張られる。
このまま食べられてしまっても怖くはない。
喰い千切って、噛み砕いて、飲み込まれれば、私はコウくんの一部になれるもの。
勿論そんなことにはならず、べろんと舐められるとコウくんが顔をあげた。

「も、いれっぞ」
「ん…」

スカートが脱がされる。それからベルトを外してジーンズを脱ぎながら、棚にあった箱を手に取る。蓋を開けて中を確認した途端、コウくんはぎょっと中を見つめていた。

「…どうしたの…?」
「ねえ」
「え?…あ、もしかして」

コウくんが見ていた箱は、いわゆるゴム、が入っていたもの。その中身がないってことは…。

「も、もうないの?!」

こないだ買ったばっかだったと思うんだけど、そ、そんなに頻繁に使ったの?
ま、まさか、

「浮気…?」
「ちげえ!!」

思ったままを口に出してしまったら、物凄い早さで否定された。あ、よかった…。

「冗談でも口にすんな。んなこと」
「…ごめんなさい」
「ま、回数が多いからな、俺ら」
「そ、そんなに替てたの?」
「あー、まあ、な」

言葉を濁すコウくん。
確かにねちっこいし何回もするけど、そんなに替えないといけないくらいしたのかと思うと何かもう、恥ずかしいのか呆れていいのか分かんなくなる。
でも、ないとなるとできないよね?
私がコウくんから持ってろと言われた分はすでにない。買いに行くのも恥ずかしいし、自分から頂戴と言う勇気もなかった。
ああ、こんなことなら恥ずかしがってる場合じゃなかったかも。
コウくん、どうするんだろう。まさか、生でとかかな。あれ、今日って安全日だっけ?…赤ちゃんできたらどうしよう。中にだ、ださなかったら、いいのかな。

「…チッ、やべえな」

コウくんのはすっかり大きくなっていて、下着の上からでもその様子がわかる。
つらそうに眉を寄せる姿は、何だか官能的にさえ見える。
やっぱりここは、私が頑張るべき…だよね。
意を決してもそもそと起き上がり、膝立ちになっているコウくんに近づいた。

「な、オマエ何やって」
「動かないで、」

コウくんの下着に手をかけて、くいと引き下げる。途端にコウくんのモノが姿を現した。…やっぱり、大きい。
ちゃんとするのは初めてだから上手くできる自信はないけど、そっと両手で掴んだ。
どくどくしてて熱い。

「おい、ムリすんな」
「大丈夫…。私だって、コウくんに気持ち良くなってもらいたいもん」

そろそろと手を動かす。でも、こうしてるだけじゃダメだよね。ドキドキと心臓が煩かったけど、私は思いきってコウくんのを口に含んだ。すでに先からは苦い汁みたいのが出ていて、思わず吐きそうになったけど我慢する。
歯を立てないように、舌を使いながら扱いていく。

「…は、…みなこ、」

艶っぽい息を吐くコウくんは、いつもは絶対に見られない顔で私を見てる。
それがすごく興奮して、私の行動も大胆になってく。じゅぶじゅぶと音を立ててみたり、先をちゅうと吸ってみたり。
でも、上手くできてるのか分からなくて、くわえたままちらりとコウくんを見た。

「ば、それ反則…っ」
「む?―――っキャ!」

突然頭を引き剥がされたかと思ったら、どぷ、と白い液が吐き出された。避けきれずに顔や胸にかかってしまったけど、コウくんがイってくれたことが嬉しくて気にならなかった。
ああでもべたべただ。
シャワー浴びたいな、なんて考えていたら、突然抱き寄せられた。肩口に頭を押し付けて、まるで甘えてるみたいにすり寄ってくる姿は、大型の猫みたい。
ん、じゃあライオンかトラかな?

「……たい」
「え?」

想像したらなんだか可愛くてコウくんの頭を撫でていたら、ぼそりと何か呟いた。
良く聞こえなかったので、もう一度聞き返す。

「…いれ、たい」
「……は…?」

恐る恐るコウくんの下半身を見てみると、すでに元気になっていて。
私は訳も分からず真っ赤になってしまった。

「や、なんで…!もう、服着てよっ」
「ハア?!テメさっきまで旨そうにくわえてたろーが」
「きゃーー!!バカバカ何言ってるの!」
「くそ、好きな女が奉仕する姿見て一回で終わるかっての」

し、信じられない…!!
頑張ったのに死ぬほど恥ずかしかったのに、なんでそんななの…?!
もう自分でも何言ってるのか分からなかったけど、とにかく恥ずかしくてパニックになってしまっていた。

「お、そうだ」

真っ赤になって暴れる私を尻目に、何か思い付いたらしいコウくんが裸のまま部屋を出ていった。
何事かと思ったけど、とりあえず今のうちに何か着ようと見渡すと、すぐそばにコウくんのシャツがあった。これなら膝くらいまですっぽり隠れるかも。
取り敢えずは気休めになるかと思って着てみたところでコウくんが帰ってきた。

「おい、何勝手に着てんだ」
「うー、恥ずかしいもん。…コウくんも、着ようよ」
「着ねえよ。おら、続きすんぞ」

え、続き?
何を言っているんだろうと彼を見上げると、ヒラヒラと小さな袋を持っている。

「あ、あったの?」
「ああ。下からちょっとな」

下。
この階の下と言えば、ルカくんの部屋がある。ということは。

「勝手に取ってきちゃったの?!」
「どうせ使ってねえんだから、大丈夫だろ」

や、そういう問題じゃなくて。そもそもなんで使ってないことが分かるんだろうとか、ルカくんだってお年頃なんだから必要じゃないのかとか、でもなんか使ってたら使ってたで複雑な気がするとかグルグル考えてるうちに、袋を歯で破ったコウくんがそれを被せて、私に向き直った。
肩を押されて後ろに倒されると、起き上がれないように覆い被さってきた。

「…こうして見ると、ちいせえな、オマエ」
「こ、コウくんがおっきいの!」

ブカブカの服の裾を捲り上げられて濡れたままのソコにあてがうと、いきなりとコウくんが入ってきた。
忘れかけていた疼きがいっぱいに満たされて、ビクビクと体が跳ねる。
それから間髪入れずに掻き回されて、何も考えられなくなってしまった。
コウくんの首に腕を回してしがみつく。じゅぶじゅぶという粘着質な音が体の中と耳を同時に攻めているみたい。

「あ、やべ、…クるわコレ」
「ひあっ、あっ、やっ…も、……んぅ!」

口を塞がれてくぐもった声しか出なくなっても、揺すられる度に悲鳴が上がる。
勢いよく最奥に衝撃が走った瞬間、あっさりとイってしまった。




うとうととソファで微睡む。
ソファにもたれ掛かっているコウくんの足の間に入って、私は体操座りでコウくんにもたれる。部屋にあったバイク雑誌を読みながら、時々言葉を交わす。バイクには詳しくないけど、雑誌にはツーリングスポットの写真も載っていて、見てるだけでも楽しかった。
くあ、とひとつあくびをする。
シャワーを浴びたばかりで乾ききってない髪を撫でながら、コウくんが優しい眠りに誘ってくれた。

「寝ろ」
「ん…ありがと…」

頭を預けると心臓の音がする。ただただ幸せな気持ちを味わいながら、私は眠りに落ちていった。




「コウ、一枚につき一日ね」
「アア?何がだよ」
「みなこのレンタル、あいてっ!」




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