セイ→デス
君の羽なんてもげてしまえばいいのに。羽を失って、力も失って。魔界から追放されてしまえばいいのに。
そうしたら私が拾って、その細い首に首輪でも嵌めて、私だけのペットとして飼ってあげるのに。
「魔界は遠いな…」
「セイン」
窓から月明かりに照らされる花畑を見ていたら、後ろからギュエールに話し掛けられた。
「なんだ」
「花畑の花を、取っているでしょう」
「さて、何のことだ」
「何本も、毎日、何をしているの」
「知らないな」
植え替えるこちらの身にもなって、と小言を言いながらギュエールは宮殿の奥へ消えていった。
「……」
確かに、花を摘み取っているのは私だ。私の手には土がついている、花なんて脆いもの、彼に比べたら何にもならない。
ああデスタ、デスタ。
君に会いたい、魔界に入れない私はいつも入口でのみ君を想う。