泥沼
そうだ簡単に言えば泥沼さ。俺は自由に動けない本体がないから。この器を持たない思考は本体の吹雪士郎にコントロールされちまった。


 僕は一人じゃない


そうさ、お前は一人じゃねぇ。俺も居るし仲間も出来た。だから不安定だったお前を支える役目で生まれた俺は今消えたことになってる。

でも実際は消えてねぇ
吹雪士郎がこの人格に鍵をかけただけだ。こいつの思考の奥深くの泥沼がある部屋に閉じ込められて、その扉に鍵をかけた。そう、正しくそれ!


下半身は泥まみれ、両腕も沼に浸かって、もう動けないって訳だ。だが声は出せるわけで、俺はいいように士郎の暇つぶし相手として選ばれたってワケ!


 どうしたの、今日は随分と騒がしいね、駄目だよ出してはあげれない


……ちっ、俺を拘束して満足か?あん時にマフラーと一緒に俺の使用権利も放棄しちまえば良かったのに、俺を何故消さないで閉じ込める?使う気もねぇのによ、消せよいい加減疲れてんだ、アツヤにもう依存すんな!


依存なんて…してないよ、ただ君を消したくないんだ

だって君を消したら僕は



支えるわけにはいかねーんだ消せよ、今すぐに。お前は一人じゃねーんだろ、俺は消えてお前は"完璧"な吹雪士郎になる。いーじゃねーか!


…ごめんね消せない、そうだね僕はナルシストなのかもね、君を離したくない。弟じゃなく吹雪士郎としての"君"を見てしまったから、離せないんだ。

自分を好きになったのは、初めてだよ




………は?
お前、何言って…お、おい!意識を閉ざすな、鍵をかけんな、声出せよ聞かせろよ!




逃げんなナルシスト!




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