「私は仕事が好きなだけなんですがね」
彼はそう小さく呟いたことがある。その時は軽く受け流したが、今になって考えてみれば、人殺しを仕事と言って楽しんでいるんだから、それはそれで難しいと感じられる。
「貴方、今笑いました?」
「いえ別に、キンブリーさんは変わってるなと」
「おやおや、貴方のような方に変わっているなどと言われるとは」
「…」
「おっと、勘違いなさらないで下さい、そういう意味で言ったわけではありませんよ」
「わかっていますよ」
キンブリーはにこにこと笑いながら、私に話し掛ける。今キンブリーは私「セリム」の遊び相手として私の自室に来ている。(ラースに用があったんだろうが、私に見付かったが故にこの状態だ)
(子供が我儘を言えば直ぐに言うことをきく、人間はなんて簡単なんだ)
「ねぇ、キンブリーさん」
「声色を変えたって、私は何も」「僕と遊びましょう!」
彼のコートを引っ張ったら、ことりと帽子がベットに落ちた。
「キンブリーさん、僕も仕事は好きですよ」
「はぁ」
「でも、今の貴方の仕事は何ですか?」
「セリム様と遊ぶこと、ですか?」
「わぁ、凄いやキンブリーさん!キンブリーさんは頭がいいんですねぇ!」
ご褒美ですよ
そう呟いてやればキンブリーは嫌な顔をする。
私はその顔がとても好きだ。だから多分私は、明日も彼を此処に呼ぶ。