デスタ女体化
「デースーターさんっ」
「は、はるっ…な!?」
イナズマジャパンに引き抜かれてから、デスタの生活はかなり変わった。何より、友達ができたのだ。
魔界には一人もいなかった、女友達というもの。女の子で生活できるという喜び。デスタは女子だからFFIには出られない、だがマネージャー兼練習相手(これでも魔界の民だ、サッカーはかなり上手い)として引き抜かれたのだ。
「デスタさん、私たちマネージャーは、お昼から自由行動ですよー!」
「あ…ああ」
だが、一人だけ。たった一人だけ親しめない奴がいる。秋も、塔子も、他のマネージャーにも親しんだ。だが、一人、音無春奈だけはどうしても慣れなかった。
魔界の民としてサッカーをしていたとき、デスタは春奈を利用し、殺そうとまでしていた。だが春奈はそのようなことはなかったように接してくれる。しかし、デスタはずっとそのことを気にしていたのだ。
「デスタ…さん?」
「ん?」
「元気ありませんよ?」
「あ、あ―…」
どうしても、春奈の前ではぎくしゃくした話し方になってしまう。これでは春奈にも悪いし、自分も嫌だった。でも、どうしても過去が自分に付き纏う。
「音無…あの」
「デスタさん」
「あ?」
「私の部屋に来て下さい!」
「え?え?」
春奈は何かを決めたようにデスタの手を取り、自室まで走り出す。デスタはハテナを頭の中で出しながら引きずられるように春奈の部屋に入る。
「な、音無…?」
「うぅーん、デスタさんにはピンクかなぁブルーかなぁ、あ、でもデスタさんスタイルいいからなんでも着こなせそう」
「???」
春奈はクローゼットを漁りながら、デスタに似合いそうな服を何枚か出していく。そして悩んだ末、ブルーの可愛らしいワンピースを取り出した。
「デスタさん、私と買い物に行きましょう!」
「へ?」
「私、デスタさんと仲良くしたいんです」
「あ…」
「デスタさん、過去のことばっかり考えて、私と素直に向き合ってくれないんですもん」
「それは…私だって考えて…」
「私、何も気にしてません!確かにあの時は怖かったけど…デスタさん、今は私のこと考えて、悩んでくれてる」
「私は、それが凄い嬉しいんです」
じわりじわり
気付いた時には、デスタの瞳からは涙が零れていた。春奈はそれを見ると、優しくデスタを抱きしめる。デスタもしがみつくように春奈に抱き着いた。
「ごめ…音無、私」
「デスタさん、音無じゃなくて、春奈って呼んで下さい」
「はる…な?」
「はい!」
くすり、くすり
二人はくすくすと笑いながら、数分間抱きしめ合っていた。
(春奈、このワンピース、胸痛い)(あー…デスタさんスタイルいいから…よし、買い物はデスタさんの服!)