「んだよ」

「南雲晴矢」

「だから何だよって」

「好きだ、俺と共に未来へ来い」

(は?)


このバダップという男に会ったのは数日前だ。エイリア学園から追い出された俺は、行くあてもなく沖縄の埠頭をうろうろとしていた。そうしたら、道端に人間が倒れているではないか。急いで担いで(悔しいが俺より体格良くて背がでけぇ)隠れ住んでる灯台に持って帰った。

脱水症状を起こしてたから取り敢えず水をやった。そして無事起きたと思ったら腹が空いたと言うから適当にスナック菓子をあたえといた。

そうしたら直ぐ元気になってミッションがどうのとか未来がどうのとか喚くから、一発殴って黙られた。

そんな日が数日続いて、冒頭の会話に至る。


「馬鹿か、未来とか…ていうか俺は男で」

「時間がない、早く答えろ」

「はぁ!?ふっざけんな!ノーだノー!俺は男と付き合う趣味はない!」

「…はい、はい」

「それになぁ、未来に来いだ?バダップ、お前頭可笑しくなったのか?あ?連れていけるもんなら、連れていってみろよ!」

「了解」

「おい、バダッ」

「バダップ・スリード、帰還します」


バダップは急に立ち上がると耳元の機械(インカム)に向かって礼儀正しく敬礼した。と、思ったらその手は俺に伸びて来て、導体を掴まれたかと思うと、抱きしめられるような格好でバダップに捕まった。


「な、おい、バダップ!?」

「南雲晴矢、お前は俺と付き合うことを拒絶した、だが未来に来いという問いには“連れていけるもんなら、連れていってみろよ”と返答した、それは則ち許可がおりたということだ」

「!?」


そう言った瞬間に、バダップ(と俺)が赤い光に包まれた。天井には何もない、光は天から降り注いでいる。頭が一瞬真っ白になった。

まさか、未来って



「待てバダップ!やっぱなし!」

「光から出るな、体が切れるぞ」

「なッ!?」


出そうとした手を即座に引っ込めて、縮こまる。その瞬間光がいっそう眩しくなって、俺は目を閉じた。





望まないスタート


提供:リッタ






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