監禁ネタ
セインに監禁されて数週間、いや数日か、日時がとうとう解らなくなってきた。今となっては折られた羽根は気にしなくなったし、それよりも今着ているセンスの悪い天界の服のほうが気になった。
「暇だな」
セインは今いない。俺は長く伸びた爪を見て大きく溜め息をついた。そんな時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「あ、本当に悪魔だ」
ひょこりと顔を出したそいつは、片目を深緑の前髪で隠し、少し垂れ目の天使。
「誰だテメェ、セインの許可無く入っていいのかよ」
「まぁまぁ、俺エルフェルっての、よろしくね」
「…デスタ」
「デッスンね、よろしく」
「デッス…!?」
気の抜けた声で可笑しなあだ名を呼ぶエルフェルは、片手に細く短い棒を持っていた。それに俺が視線を落とすとエルフェルは俺の足元に座り込んで、にこりと笑って見せた。
「爪、見せてよ」
「は?」
「鑢も持ってきたし、準備OKなんだよね、あと髪もいじりたいなぁ!」
「お、おい」
「デッスン、綺麗だから磨き甲斐があるよ」
「どーゆう」
「取り敢えず爪磨がせて!」
そう言うとエルフェルは俺の手を引っ張って、爪をまじまじと見つめた。そして持っていた棒で俺の爪を器用に磨いでいく。みるみるうちに丸く短くなっていく爪を見て、俺は少し関心してしまった。
「器用だな」
「俺、髪とかいじるの好きなんだ、中でも爪が好き」
「爪ェ?」
「うん、本当デッスンの爪は綺麗だねぇ」
ちゅ
あ、こいつ、俺の爪に、キスしやがっ
「何をしている」
「!?」
「ありゃ、セインに見付かった」
扉に視線を送ると、そこには怒り狂ったセインが立っていた。殺気が隠しきれてないぞ、オイ…!
「エルフェル、何を」
「俺の悪いクセ!デッスン爪綺麗だったから磨いでたのさ」
「貴様」
「大丈夫、手にしかキスしてないから」
「今すぐ立ち去れ、今すぐだ」
「お、おい、お前ら…」
嫌な雰囲気に耐え切れなくなったのは俺。セインの怒りが怖くなったのも俺。セイン等にふるふると震える声で止めにかかると、セインがこちらを向いた。びくりと体を震わせたが、そこにいたのはいつも通りの微笑を浮かべたセインだった。
「あ」
「お邪魔みたいだし、俺はトンズラするかな」
「まだ居たのか、エルフェル」
「あーはいはい、本当、セインは独占欲強いんだから」
笑いながらそう言って出ていったエルフェルを見届けるのとほぼ同時にセインが俺の腕を引っ張って引き寄せた。
「うぁっ」
「どこを触られた、デスタ」
「どこも、手ェだけだよ」
「本当か」
「あ、ああ」
「なら…いいのだが」
セインは落ち着いたのか俺を抱きしめてそのままベットに転がった。手は握りしめたままだ。
次にその手を強く握り、まるで押さえ付けるように手がセインの唇に触れた。
「あ…っ!」
「誰にも触れさせるな、デスタ」
「…」
「私だけに触れさせろ」
「……」
「返事は」
「…はぁ、分かったよ、天使サマ」
「ふ、宜しい」
そう言ってセインはまた笑うのだ。
白羽様遅くなってしまってすみません…
セイデスかエルフェル×デスタでほのぼのということだったのですが、ほのぼのしてますか?これ大丈夫でしたか?←
勝手に監禁ネタと合わせてすみません…
私の中のエルフェルは、オシャレ好きなのんびりマイペースなので、喋り方が何か抜けてます。
気に食わない点などがありましたら書き直しますので…!