ピロロロ
俺の好きな人(?)は宇宙人。大きくて真っ白な宇宙船の中で真っ白なピアノをひくピアニスト。でも真っ黒の髪に真っ黒な服、そして対象的な真っ白の肌。焦点の会わない黒眼。それが俺の好きな人、みな彼を先生と呼ぶ。
何もない彼の部屋で、本を見付けた。よく見たら辞書だった。彼の言葉は理解できない。俺からしてみればピロロロ、たまにキョアーオ。やっぱり彼は宇宙人なのかもしれない。でも、彼の言っていることが理解出来ないのは嫌だった。
辞書を開くと、訳の解らない文字が沢山書いてあった(きっと彼が話している言葉はこれだ)そして横には英語が書いてあった。
しめた、これで彼の言っている言葉が解るんではないか。俺は紙とペンを持ち、辞書を見ながら紙にペンを走らせた。
「セコムマサダ」
「****?」
俺が勝手につけた彼の愛称を呼び、肩を叩く。ピアノを弾いていた彼はぴくりと動き、何かを喋ってこちらを向いた。
ばっ
見せた紙に綴られた文字を見て、彼の焦点が合わぬ目が見開かれた事がわかった。
辞書、見付けた、君の、言葉、理解、できる、可能性、ある
ちぎれているけど伝わっただろうか。
彼は嬉しそうに口を笑わせると、ぎゅっと俺に抱き着いて来た。あ、冷たい体だな。
「****…」
「血がついちゃうよ」
「****…」
「セコムマサダ、聞いてる?」
俺は死体、生きることのできない死体だ。そんな俺に愛されて、彼は幸せなのだろうか?
でもそれは、彼の言葉を理解してからだ。
死体さんとセンチメンタル小室マイケル坂本ダダ先生
(俺は死体、君を愛する死体だ)
ゆめにっきより
死体さんとセコムマサダ先生です。
黒髪真ん中分けは正義