番外編




「なぁデスタ、お前友達はいないのか」


始まりはセインの質問からだった。この質問に答えようと思ったとき、俺の脳裏にはある記憶が蘇った。

これは、今からかなり昔、俺が封印されるよりももっと昔の話だ。


昔話



俺の済む魔界。そこは暗いが、悪魔には快適は空間。その中でも、魔界の外れにある小さい池が俺の昼寝スポットだった。

その日も俺は池の直ぐそばで寝てた。すると、遠くから聞き慣れたカツカツというヒールの音が聞こえたので、ゆっくり目を開く。


「バーンか」

「お、よくわかったな」

「この男臭い魔界で、女みてぇに高ぇヒールの音鳴らしてんのは、淫魔(インキュバス)の手前くらいだ」

「失礼な、似合ってんだろ!」

「似合ってる…って、それほぼ裸だろ」


バーンの格好といったらいやらしい。かなり短いショートパンツ(尻見えるぞ尻)に、ヒールの高ぇブーツ。それに裸サスペンダーって、どこの風俗だ、何処のダンサーだ。しかも全部色は黒!


「はぁ?裸サスペンダーじゃねぇし、乳首は隠してるだろ」

「その乳首しか隠れない布で何を着てるだ、ブラか、ブラなのかそれ」


だー、うるせぇな!とバーンは叫びながら俺の隣に座る。

俺は警戒心が強い方だ。だから悪魔だろうが淫魔だろうが近くには寄らせない。けどこいつは何と無く気が合って、仲良くなった。言うなら、たった一人の友達だ。


「なぁデスタ、お前最近人間界に行ってんだろ?」

「ああ、人間の魂はうめぇからな!お前も来るか?」

「パス、俺は綺麗な奴しか狙わねぇの」

「あ、そ」


バーンはにやにやしながら池を見ている。こいつは変態だからあまり長居はしたくないんだよな

「人間界には、神父がいるから気をつけろよ」

「神父?」

「悪魔退治してる奴ら」

「ふぅん」

「…ま、お前なら大丈夫か!じゃ、俺行くわ」

「何処に」

「飯食いに」


そう言うとバーンは羽根を広げて飛び立った。まぁ、その後、バーンは行方不明になっちまったんだが、魔界ではよくあることだ。でも、セインの質問で、こいつが出てきたってことは、


(やっぱり、俺とあの変態、友達なのか)

「…デスタ?」

「あーわりぃ、友達、友達なぁ…いるったらいるかな」







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