ギュエールの趣味
「なぁ、牛の女神」
「なぁに?」
「この服だけど」「可愛いわ、デスタ」
「あ?ああ…いや、でもひらひらしててすーすーする」
今から数分前、ギュエールは、キッチンからデスタを自分の自室に連れていき、先程渡した服とは違う服をデスタに渡していた。
「これは…なぁ」
「デスタ、私お人形が好きなのよ」
「ああ」
「昔はセインをお人形にしてたの、でもセインって可愛いよりも美人な顔でしょう、でも貴方なら可愛い顔をしているから、似合うと思ったの」
「でも、これ」
デスタが渡されたのは、所謂ロリータファッションで、フリルがたくさん付いている。フリルの他にもレース、リボンなどが強調されていて、しかもその殆どが白とピンクで埋め尽くされるという、なんとも可愛い服装だった。
「これは頭につけるの」
「俺くせっ毛だからっいたたた!」
「ヘッドレスを付けなきゃ始まらないわ! 」
ちらりと見たギュエールの目はキラキラと輝いていて、四つ葉のクローバーを見付けた少女の如く光っていた。(だが言い方を変えれば獲物を捕らえた虎である)
そして、冒頭へ戻るのだ。
ギュエールは、ふわふわとしたこの服の上に、アラクネスから貰ったエプロンをかけた。
「このエプロンは似合わないけど…デスタの大切な物なのよね」
「ああ…」
「ふふっ、安心して、取り上げたりはしないわ、じゃあ靴はこれ、靴下はこの白いのね」
靴下と靴をデスタの手に起き、にこりと笑うギュエールは実に満足そうであった。デスタは直ぐにそれらを履くと、用意されたモップとバケツを持つ。「可愛いわぁ」とうっとりするギュエールに軽く返事をして、部屋を出た。
ギュエールさんすみません…
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