料理無理かも
「じゃあデスタ、貴方何が出来るの?」
「は?」
「出稼ぎ、と言っても沢山あるわ、家政婦さんとか、あ、デスタなら奴隷が一番かしら?」
「っざけんな!」
「ふふ、冗談よ?貴方料理はできる?」
「…料理?」
そう言うと、ギュエールはデスタをキッチンへと連れていった。魔界にはないキッチンにデスタはキラキラと目を輝かせる。
「はい、卵」
「卵…?」
ぐしゃ、不気味な音の後にはギュエールの悲鳴が聞こえた。デスタの手にはぐしゃぐしゃになった卵。ギュエールはわなわなと奮え、信じられないといったようにデスタを見た。
「卵もまともに持てないのに、お料理なんて出来るわけないわね…なに、そのエプロンは飾り物かしら?」
「ギ、ギュエール!言い過ぎだ!」
「とにかく、この黄身だらけになった床を拭いといてよ?」
ギュエールは呆れたようにキッチンを出ていく。セインは申し訳なさそうにデスタを見ると、大丈夫か、と出来るだけ優しく問う。
「すっげぇなセイン、卵ってやわらけぇ…!」
「あ、ああ」
「やっぱり俺料理無理っぽいわ」
「明るいな、デスタ…ギュエールがあんなこと言ったのに」
「んぁ?あんなの魔界じゃ悪口にもならないぜ!」
「そ…なのか」
「取り敢えず、掃除すりゃあいいんだろ?任せとけよ、掃除はアラクネスのせいで馴れてる!」
その時デスタは笑顔でそう言ったのだ。
(デスタ可愛い…!)
prev | next