*士郎発情

















「兄ちゃん、兄ちゃん」

「なぁに、アツヤ」

「その卵焼きちょーだい」

「いいよー、あーん」

「や、辞めろよ!恥ずかしいだろ…ったく…あーん」


「イチャイチャするなリア充兄弟!爆発しろ!」

某宗教男子校、屋上には昼時になると沢山の生徒が集まる。吹雪兄弟、涼野風介らもまたその一員。

アツヤが入学してからというもの、士郎はとてつもなくアツヤに甘えている(反抗しているような口調だがアツヤも十分甘えたさんだ)、いつも静かに食べていた士郎と風介の昼は劇的な変化がおきたとも言える。そして毎回、その甘い雰囲気に堪えられなくなった風介は大声で怒鳴ったり怒ったりするのだ。


「リア充?」

「ちょ、風介くんアツヤに変なこと教えないで」

「私はもう我慢の限界だ、教室で食べさせてもらう」

「ちょ、待って!」


士郎は立ち上がった風介の腕を強く引っ張り、アツヤには聞こえない小さな声で風介に耳打ちした。

「いなくならないでよ風介くん…!一人は嫌だよ!」

「アツヤが居るだろう、二人仲良く食べろ」

「風介くんが居るから理性保ててるようなものなの、いなくなったら僕アツヤ襲っちゃうの!」

「勝手にヤってろ、言っておくが私は三次元完全拒否だ、ヤるなら私の居ないところで、な!」


風介は士郎の手を剥がすと、すたすたと歩いて屋上を去ってしまった。

わなわなと手を奮わせる兄を心配したのか、アツヤが小走りで駆け寄り、士郎の顔を覗き込む。


「兄ちゃん?」

「うわぁ!?」

「どうしたんだろ、風介サン」

「さ、さぁ…あ、ほらアツヤ食べちゃおう!」

「んー…」


士郎はそそくさとアツヤから離れ、また弁当を食べ始めた。先程とは打って変わった兄の態度にアツヤは疑問有りげに首を傾げた。


「兄ちゃん…?」

(うわぁあ、そんな可愛い顔しないで、首を傾げないで、誰もいない?今屋上誰もいないよね、ならいいかな、でも早いかな、アツヤまだ15だしぃあなくぁwせdrftgyふじこlp)


「にーちゃんっ」

「うわぁあアツヤ!」

「え!?」


考えた末、士郎の体は自然にアツヤを抱きしめていた。普段この抑え切れない理性は“風介”という人物で抑えられていた、が、今はその風介が逃げ出した。爆発的な理性に体を任せまいと士郎は戦うが、押し倒す、よりも抱きしめる、に抑えたところを見るとまだ微かに理性は残っているらしい。


「に、ちゃ…!?」

「ごめんねアツヤ、すぐ離れるから、待って、ごめん、ごめんね」


弟は顔を赤くしながら兄の服を弱々しく掴む。士郎はアツヤの首元に顔を埋めながら、すぅと匂いを嗅いだ。


「わっ、兄ちゃん、くすぐったぁ…」

「う、うぅ…ごめんアツヤ、もう無理!」

「は!?」



ばしんっ


「いたぁ!?」

「お前の理性は3秒も保てないのか!」

「ふ、風介サ…ン」


丸めた教科書で士郎の頭を叩いた人物は先程逃げ出したストッパーの風介だった。士郎は素早くアツヤから離れると風介の後ろに隠れた。

「心配して来てみたらこの様か、私だってな立ち去って1分で開始するとは思わなかったよ、ちらっと見て、何ともなさそうなら本当に教室に帰るつもりだった」

「うぅ…ごめんなさい風介くん、ありがとう風介くん…もう離れないで」

「黙れリア充シネ」










とある昼休み





 

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