「おやおや、王子様のお出ましか?」

「王子様なんて、皮肉だね」

町外れの倉庫には確かに晴矢と橋本の馬鹿がいた。だが悲しいことに一人ではない、他にあと数人。完璧に読みを間違えた。

「晴矢を、返してくれないか」

「お前は、喧嘩を売りすぎなんだよ、こっちだってプライドがあんだ」

「プライド?痩せ我慢の間違いだろう」


橋本の腕の中でくたりとした晴矢が、あの日の由紀に重なって見える。私の過去を知ってるなら、全く同じ手で来るとは思ってたけど。

橋本の手には、ぎらりと光るナイフ。予想通り、そして決め台詞は

「さぁ、大人しくしろよ、こいつを傷付けたくないならな」


ほぉらね、やっぱり。

両サイドにいた不良が私目掛けて走り込んでくる。でも私の目の前に広がるのはきらきらした金色。あの日と同じ、絹糸みたいに細いそれと反対の方に私が入り込んで手を伸ばす。

がっと音がすると、不良は二人とも床でのびていた。


「なに…!」

橋本含め、その他数人の奴らは驚いたように後退る。きらきらきら


「亜風炉照美っていいます、よろしくね?早く晴矢を離しなよ、」

「改めて涼野風介、もう一度言う、晴矢を返してくれないか、」




ぶっ殺すよ




 

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