自分でも悪いことをしたと思う。やっと普段通りに南雲と話せるようになっていたのに、私の一言で断ち切ってしまった。昨日といい今日といい、私は何故南雲を傷付けてしまうのだろう。
私の欲しい言葉をくれる南雲、何度、何度と傷付けてもまた私の前に現れる。彼女は消えてしまったけれど、南雲は消えない。私の前からも、…中からも。南雲が消えなくなっている。
追い掛けなくてはいけない。私は追い掛けなくてはいけない。
消してはいけない。
南雲を、彼を私の前から消してはいけない。
「…すまない、昔の友よ」
「え?」
「私、彼ともう少し話したいんだ」
「って、おい!風介!?」
コンクリートの地面を蹴り上げる。南雲はきっと真っ直ぐ家に向かったはずだ。南雲の家に直に行ったことはないが、南口の方、あの告白された場所の近く、駅二つ分。何度も言うけど私はとても体育が苦手だ。
追いつけるか分からない。だけど彼を追うんだ、私は。
「なんか…風介行っちまったな」
「あんま変わってねぇなぁあいつ…ていうか一緒に居たのって…確か南雲なんたらって奴じゃなかったっけ」
「え、お前知り合い?」
「いや、有名高校初の特待生って新聞に載ってた気が…」
「あー成る程、あの高校あんまり特待生とらねぇから」
「なぁ」
「え」
「お前たち、あの風介くんの知り合い?後、ついでに一緒に居た子のこと教えてくれないかな、あ、名乗るの遅れて悪いな、俺、橋本っていうんだけどさ」
悲劇は繰り返す