あれから数時間たった。
南雲は何回も超能力関係の本を読みあさっていたし、私は南雲がすすめた本が意外にも面白かったのでついついちゃんと読んでしまった。

(13時…)

待ち合わせの10時から考えると予想以上に長居をしてしまったようだ。

(昼…どうするか、このまま図書館で過ごすか…それとも)


南雲と何処かに食べに行くか。それではまるで本当のデートではないか。…いや、確かにこれはデートだが、私に合わせると最初に南雲が言ったので無理に気を使わなくてもいいのでは、

「…南雲?」

「………」


なんだか周りの視線が南雲に集まっている。何だろうと一つ隣を見れば、ぐっすりと眠った南雲がいた。南雲の横には五冊程の本が積み重なっている。

だが気になることはもう一つ。机に俯せになって眠る南雲の寝顔は、私の方を向いていた。

(…私を見ていたのかな)

眠るまで気付かずに放置してしまっただろうか?軽く南雲を揺すっても起きる気配はない。

「南雲、起きて」

「う―…」

「皆見てるよ、南雲」

「……」


デートに誘っておいて、相手をほったらかしにするとはどうゆうことだ。放っておいて帰るか、いやだが今の行為で周りに私は南雲の知り合いとバレたわけだし、南雲を残して帰るのも薄情と思われるかもしれない。


「南雲、ほら」

「う…すず…」

「ほら南雲、南雲」


そういえば、何故南雲は私を涼野と呼ぶようになったのだろう?
最初は風介だったのに、
なんでだろう?

(なんで南雲は…あれ?)


ああそうか。


「晴矢、起きて」


私が最初に亀裂を走らせた(名前を呼ばなくなった)からだ――。


その瞬間、いきなり南雲の目が開いた。


「え…っ?」

「え…」

「涼野…、あ、ああ!悪いな寝ちゃったのか俺」

「ああ、ぐっすりと…」

「はは…お、俺本戻してくる、ついでにまた風介に合いそうな本でも――」

「いらないよ」

「え」

「その本戻して来たら、そのまま出口においで」

「す、涼野…?まさか飽きた?ごめん、俺もう寝ないから…!」


急に不安がった南雲の顔が何故か可愛く見えた。しどろもどろって言葉がよく似合う。心の中でくすりと笑うと、私はやけに冷静に答えられた。


「そうだね、誰かさんが放置したから、少し飽きたかな」

「っ…」

「少し飽きたし、お腹も空いた」

「南雲、お昼はどこで食べたい?」


「……え?」





その時の君の顔ときたら、もう




 

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