序章
ラブじゃなくてライクだけど?兄弟なんてそんなもんだろ。
「むかつく」
「ワロス」
「ちゃんと聞いてよ風介くん」
「悪いが私は現実に興味がない、ゲームの中にいる可愛い妹なら未だしも、現実の弟なんて、あ、男の娘なら可だ」
「死ねば」
弟が好きと言うのも問題だが、目の前に居る超を越えたオタクな親友も問題だと思えてきた。
かちかちと携帯の恋愛ゲームを楽しむ親友、涼野風介(自称凍てつく闇の使者)は、僕の相談に乗ってくれる唯一の友だ。弟が好きだなんて他の友達には言えず、悩んでいた僕が(たまたま)同性愛のゲームをやっていた風介くんを見付けてしまったのがきっかけ。
「君の弟、名前は確かアツヤだったか」
「うん、今年からここの一年」
「高一はいいぞ、みずみずしいからな」
「死ねよ」
「嘘だ、私が言いたいのは、君の弟は君の居る学校を選んだのだろう、ということだ」
「まぁ、アツヤが来れる高校なんてここだけだけど」
「…お前、弟の為にこんな偏差値低い高校に来たのか」
「うん、推薦とか全部断ったよ」
「死んでしまえ」
アツヤの為なら青春だって捨てられる。そういう男なんだよ、僕は。
こんな僕たちのお話。