俺の彼女は、はっきり言って、小さい。小さくて、ふわふわで、可愛い。なんつーか、リス、みたいな?そんでもって、常にマイナスイオンが出てる。とっても可愛い可愛い後輩だ。

「丸井先輩?」
「…ん?なんだよぃ」

いつもの帰り道。手を繋いで歩いていたら、不意に、その愛しい愛しい彼女が俺を呼んだ。学校指定のマフラーから漏れる白い吐息と一緒に、言葉もこぼれる。

「大好きです!」
「あーっ、もー!なんでお前はそんなに可愛いんだよーっ」

思わず頭を撫でくり回す。やべえ可愛い可愛い!そんな寒さでで赤くなった頬っぺと鼻でさ、照れ笑いしながらンな事言われたら、鼻血吹いて倒れるだろぃ!てか、部活で疲れたこの身体も癒される!

「ちくしょー、俺も大好きだ!」

悔しい程に、本当にベタ惚れ。
街中で叫んでて、白い目で見られても、幸せなら万事オッケー!

「ふふ、私もです!――あ、」

そしたら急に、声が途切れた。何事かと彼女の視線の先を見れば、ショーウィンドウに飾られた、真っ白過ぎるくらいに白い、綺麗なウエディングドレス。

「――着たいの?」
「うぇっ!?――あ、はい!」

にっこり。だけど、ちょっぴり赤い、こいつの笑顔。…あ、似合うかも。もっと大人っぽくなったこいつ、きっと綺麗だろーな。

「じゃ、いつか俺が着せてやる」
「え!?」

…あ。やべぇ、サラッとプロポーズしちまった…。








指切りは
ロマンス未満











ま、腹をくくってみるかな。

「あれ?将来、あれ着たお前の隣でタキシード着て笑ってんのは、俺じゃねーのかよぃ?」
「い、いえ!丸井先輩です!」

ほれ。と小指を突き出す。戸惑うこいつも可愛いな、なんて思いながら、約束!と言ってやった。

「今はガキだから、指輪はあげられないからさ。指切りで我慢してくれよな」

そう言ったら、林檎みたいになってやんの。可愛いなあ、本当に。お菓子とか、ガム食てなくても、こいつで生きてける!マジで!



(2010.12.30.)






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