「青い鳥を捕まえたら、幸せになれますかね?」

「え?」


そう、唐突に思った。




本日最後の授業を珍しく仲良くサボった私と幸村先輩は屋上に来ていた。


晴れた空を見上げて寝ている先輩の隣に、私はいて

そして冒頭の発言に至る。



「急にどうしたの?」

「あ、いえ。なんとなくそう思って」



先輩は驚いたように少し私を見た後、また空を仰いでいる。



「なんか、平凡すぎて面白くないなぁと思ったんです。
私、ワンパターンって好きじゃなくて」



苦笑いして後ろに、ぱたっと倒れた。

その音に反応した先輩は振り返って私を見た。



「ほら、女の子だろ?服汚れるよ」

「私がそんなこと気にすると思ってるんですか?幸村先輩」



そう言いながら私は青く澄んだ空に向かって手を伸ばして



「幸せって何でしょうね。
少なくとも今は幸せじゃないです。平凡すぎて面白くない」



聞こえるか聞こえないかの音量で呟いた。


これが今の私の心境。

平凡が一番幸せだといった人ももちろんいる。

それでも私は、何もないことに不満を覚えていた。



「幸せ、じゃないの?」

「ええ、まあ。暇を持て余すのは好きじゃないので」

「…へえ」



先輩は顎に手を当てて考え込むような素振りをしてから

私が空に向かって伸ばしていたその手を取る。



「…先輩?」

「暇じゃなければいいの?」

「え、あ、はい。そうですけど、」



私の言葉を聞いて彼はすごく嬉しそうな顔をして。


「じゃ俺と付き合おうよ」

「……は」







「青い鳥を捕まえなくても俺が幸せにしてあげる。
君が暇にならないようにするよ。

だから、もし捕まえても」











君には俺がいるだけで十分。でしょ?


そう言って微笑んだ先輩に

顔を赤くしたのはいうまでもなかった。



(2011.07.01.)



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