告白されて部活に遅れてきたら真田に怒られた。
殴られた頬がじんじんと痛む。痛い。痛すぎる。あれは人間の腕力じゃなか。


「うっわ、痛そ」

「……痛い、」

仁王先輩大丈夫ですか、と氷水の入った袋を俺の頬に当ててくれているのは俺の彼女の無子。
その隣では赤也と丸井がにやにやしながら俺とこいつのことを見とる。

「真田がこっち睨んどるぞ」と二人に耳打ちすればさーっ、と顔が青ざめ、逃げて行きよった。


「なーなー」

「なんですか?」

「俺が遅れてきた理由、知りたくなか?」


「あーはいはい、聞きたいです」

「実は告白されたー」

「……返事は?」

「俺には可愛い彼女が居るけえ無理って言った」



それを聞いて嬉しそうに無子は笑った。ああ、俺はこの笑顔に弱い。
抱きしめようとした瞬間、

「仁王、早く来ないとまた弦一郎が怒るぞ」


狙ったように参謀が間に入ってきて 俺は参謀に衝突した。
一瞬参謀が嫌そうな顔をしたのを俺は見逃さんかった。お前さんが邪魔せんかったらよかっただけの話ナリ!
でもまた真田に殴られるんは嫌じゃ。渋々ラケットを持ってコートに向かう。


「がんばってくださいねー」


後ろでは無子がひらひらと手を振っていた。またまたまーくんはキュンとしてしまったナリ。
無子に駆け寄ってぷるぷるした唇にちゅっ、と軽くキスをした。


「お前さんの酸素、貰った。」


顔を真っ赤に染めて口をぱくぱくと金魚みたいに開け閉めしている#1#も可愛いのう。


「仁王ぉおおおおおおお!」


……顔を真っ赤にした真田に怒られるまであと5秒じゃ。 ピヨッ!



だから世界は呼吸を止める


(うわー仁王先輩よくやりますよね)
(俺ぜったい無理)





(2011.04.02.)



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