今日、友達が彼氏と二人乗りをしたと嬉しそうに私に言ってきた。
その話を聞いて私の彼氏、鳳瑛一は自転車に乗れるのかと疑問に思った。
よく考えたら瑛一はお坊ちゃんだし、自転車の乗り方も知らずに成人しましたって言われても、納得してしまう。そこで、居ても立ってもいられなくなった私は、瑛一本人に尋ねることにした。


「瑛一って自転車乗れるの?」

「どうした、急に」

名前が俺のことを聞いてくるとは珍しいな、とにやにやこちらを見てくるが、そこはスルーで。

「で、どうなの。乗れるの、乗れないの?」

「乗れるに決まっているだろう」

「え?ほんとに?!」

てっきり乗れないものだと思い込んでいたのでかなり驚いた。

「なんなら、証拠を見せてやろう」

見せて、なんて一言も言ってないのに、瑛一は私を外へと強引に連れ出す。

外へ出てみると、さっきまで雨が降っていたのか、空にはくっきりと虹がかかっていた。久しぶりに虹なんて見たので、暫く見つめていると、どこからか瑛一は自転車を取り出してきた。

「ここに乗れ」

自転車の荷台部分を指差す。私は言われた通り荷台に座った。二人乗りをしてくれるのかな、なんて思っていると瑛一は私が座ったのを確認すると瑛一はサドルに跨がり、ぐんっとペダルを漕いだ。やっぱり私を乗せているからか、あまり安定しない。ぐらぐらと揺れる自転車から落ちないよう、瑛一の背中にしがみつく。

「私重くないー?降りようか?自転車乗れるのわかったし」

大丈夫だ、と楽しそうに言う瑛一の横顔は何だかかっこよく見えた。すぐ調子に乗るから絶対こんなこと本人には言わないけど。
なんか楽しいな。
二人乗りなんて初めてしたけど、案外楽しい。一人では味わえない感覚だ。
たまには、こんなのも良いかも知れないと空に架かった虹を見つめながら思った。

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