きら、綺羅。
私の幼馴染は無口で表情を余り表に出さない。そんな彼は今注目のアイドルのHE★VENSだ。そして私は都会の片隅で両親が営む小さな喫茶店で働いている。
『いらっしゃいませ。あら?皆で来てくれたの?』
珍しく綺羅が鳳と帝を連れて来店した。
「こんにちは名字さん」
「久しぶり名前!遊びに来たよー!綺羅が誘ってくれたんだ」
『そうなの綺羅?』
カウンターに座る三人に水を出すと綺羅は頷いた。
「おばさんは…」
綺羅が店を見渡し言う。
『二人は只今、仲良く旅行中』
「そうか」
すると帝が言った。
「じゃ!今日は名前だけなんだね!」
『まぁ…そうなるかな』
名前が苦笑して言うと鳳はナイスタイミングだなっと綺羅に告げる。
『…?』
名前が首を傾げると帝は嬉しそうな表情をした。
「頑張ってよ綺羅!」
「二度とないチャンスだ。いい結果を来たいしてるぞ」
二人は注目した珈琲とジュースを飲み終えると名前に用事があるから先に失礼すると告げ店を後にした。
『ありがとうございましたー』
二人の飲み終えたカップを下げると綺羅が口を開いた。
「名前」
『なーに?』
作業をしながら綺羅の言葉に耳を傾ける。
「一緒に行かないか」
綺羅は名前に一枚のチケットを差し出した。
『プラネタリウム…?』
それは今、人気のプラネタリウムのチケットだった。
「好き…だったろ?」
小さい頃、星が好きだった私はプラネタリウムを見に何度も足を運んでいた。勿論、綺羅と見に行った事もあった。
『覚えてくれてたんだ…ありがとう綺羅。一緒に行こうね』
名前が微笑むと綺羅は少し頬を赤らめた。
「あと…もうひとつ」
『…?』
綺羅は席を立ち名前の手を握り自分の方へ抱き寄せた。名前はカウンターから前屈みに綺羅に倒れ込む。
『!!、綺羅!?』
名前はビックリして声が裏返る。そんな名前の頬に手を当て言う。
「名前…お前が好きだ」
そして綺羅は名前の耳元で告げる。
「俺には…名前が必要だ」
『…綺、羅…』
綺羅は名前に思いのたけを言うと名前を優しく離した。
「返事…聞いてもいいか」
真っ直ぐ己の瞳を名前に向ける。名前は両手で真っ赤な顔を覆い小さな声で言った。
『よ、よろしくお願いします』
「……!!」
名前が言うと綺羅は、とても嬉しそうな顔をしていた。
『私も、綺羅が…好きです』
名前は笑顔で言った。
二人で、また見に行こう。
大好きなプラネタリウムを大好きな人と一緒に…―