※若干グロ注意










(はやく、やつを殺さなければ)



夢を見る。首を絞めて殺す夢だ。昨日は刺殺で、一昨日は電気だった。毎日のように、夢の中で奴を殺す。殺して、ころして、手の中に奴の息を感じて、殺す。たった10分程度の睡眠でも俺は、やつを殺すのだ。目が醒める度に、ああまたか、と思う。また、夢だった。
奴は、こんなに簡単には死なない。化物だ。死ぬはずがないんだ。

毎日、毎日毎日毎日、何度も何度も奴を殺す計画を立てて、毎日毎日毎日、毎日夢を見る。そんなにも俺は、やつを殺したいのだろうか。と、思う。奴と会う度に、顔を見る度に、自販機をゴミ箱をガードレールを標識を避ける度に、思う。

硫酸を飲ませたら流石の化物も死ぬはずだ。食道が焼け爛れて、出血して、食事も取れないしそれ以前にショック死するはずだ。毒を飲ませてもいい。呼吸器系に作用する物の方がいいだろう。

そんなことを、俺は、考える。唇を重ねるときに、身体を繋げるときに、組み敷かれて、撫でられて舐められて突っ込まれて、馬鹿みたいにだらしなく喘ぎながらそう思う。



だって、やつは毎日死ぬのだ。脇腹を刺されて十二指腸から空腸回腸結腸直腸までを引きずり出されて膵臓肝臓脾臓腎臓をぐちゃぐちゃにされて、身体中のいたるところに電極を突き刺されて高圧電流を流されて、細い首を力いっぱいに絞めあげられて、死ぬ。毎日、毎日、何度も何度も何度も、何度も。

目が醒める度に安堵して、眠ることが怖くて、それでも俺は奴を殺す、ころす。

そうまでして、俺は、奴を殺したいのだろうか。苦痛に歪む顔を、ひきつったその表情筋を見て、俺は、何を。



「また手前は馬鹿なこと考えてるんだろ」

ぐしゃぐしゃと、頭を撫でられて、吐き気がした。君は、俺が毎日、殺しているんだよ。ねぇ、なんで、そんなに笑ってるんだよ馬鹿じゃないの。
はぁと奴がため息を吐いて、俺に口付けてくる。馬鹿だよ、本当に。このまま、俺は、君の舌を噛みきって殺すことだって考えているのに、こんな無防備で、馬鹿だ。





殺人計画







君の声も聞きたくなくて、優しくされると吐き気がして、俺は、また君を殺すんだよ。







*――*――*

病んだ臨也さん。

2010/5/20

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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