※新臨
※裏注意





腕を動かそうとしても、軋む金属音が邪魔をする。目が覚めて、暗い視界に目が慣れてきた頃にようやく、そこが新羅のマンションの一室であることに気付いた。普段、主に診療で使用するその部屋の、診察台の上だ。両腕は頭上で纏められ、手錠で繋ぎ止められている。服も着ていない。完全に、裸の状態だった。

「やぁ臨也、目が覚めたかい?」

声の主は、よく見知った相手のそれで。これはいったいどういうことだ、と声を荒げればいきなり診察台の真上の電気が点される。いきなりの明るさに目が眩み一瞬怯んだその隙に、ちくりと首筋に痛みが走った。

「っ……!」
「ああ、痛かったかな? まあ気にしなくていいよ、直ぐに気にならなくなる」
「、……しん、ら……何を……」
「うん、俺は臨也が心配なんだよ」

明々と照らされる診察台の上で、俺はひやりとしたものを感じた。新羅の目は、丁度逆光になっていて見えない。わからない、情報屋として働く自分としては、わからないことがこんなにも恐ろしいことなのだと身を持って知った。

「ねぇ臨也、ここの傷はどうしたの?」
「っ……、それ、は、……ちょっと仕事で、」

新羅が指で腹に残る打撲の痕をなぞる。仕事で少し失敗してしまい受けた傷だった。だがこんなもの滅多にないし、あったとしても小さな傷ばかりだ。

「うん、やっぱり心配だよ臨也……」
「な、にが……」
「君の仕事のことさ……情報屋なんて危険だよ」
「へぇ、闇医者に諭されるなんて意外……っひ!」

喋っている途中で、胸の突起にきつく爪を立てられて思わず声が上擦った。新羅の口元が緩く弧を描く。

「例えば、臨也。『お前の持っている情報を全て吐け』とか言われて拷問されたらどうする?」
「……そりゃあ、」
「うん、君のことだから引き渡せる情報は流して、上手くかわそうとするんだろうね? でもそれでかわせない時はどうするんだい?」

新羅の指先が、ゆうるりと脇腹をなぞっていく。先ほどまでの寒気が信じられないほどに身体が熱い。汗が噴き出す。

「あ、効いてきたかな?」
「、し、んら……」
「さっきの薬。ほら、こんな状況だってあるんだよ」
「っ、どん、な……」

首筋の注射針を刺された痕に、生温い舌がまとわりつく。あり得ないほどの快感に、自分が信じられなかった。

「裏社会の人って怖いからね、それこそ情報屋みたいな人が邪魔だっていう人はたくさんいるんだよ。でも情報屋を抹消するなら情報を吐かせた後だ。だから拷問とかそういうこともある」
「しんら……っ、く、あ……!」
「俺は君を心配してるんだ。静雄の暴力には耐えられる君でも、こんな拷問に耐えられるかい?」

逃げなければ、そう思うのに手錠が邪魔をする。新羅が、昔からの友人であるこの男が、怖い。

「私にとって臨也は……そうだね、大切な友人なんだよ。それこそ身内くらいには大切にしてる。だからこそだ。これは僕の親切心だと思ってね」
「んぅ……っ、ひ、やめ……っ!」

いきなり下肢を握りこまれて、変な声が出る。自分の声だと思いたくなかった。新羅は、それこそ診察の一環であるかのような手つきで触れてくる。身体が熱くて仕方がない。

「うん……やっぱり臨也は敏感だねえ。快楽に弱いとすぐにつけ込まれるよ」
「ひ、あ、ああああっ……!」

ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が耳に障る。自身の先ばかりを擦られて、尿道口に爪を立てられればあっけなく達してしまった。はあはあと達したばかりの荒い息で、新羅を見る。その表情からは、何を考えているのかが全く読みとれない。新羅。しん、ら。

「性的な拷問はたくさんあるよ。例えば、」
「っ……!!」
「こんなふうに射精を抑制して、その状態で刺激を与え続ける」
「しん、やめ……」
「最近はこういった拷問器具も増えててね。わかる? これ、吸引力が凄いんだよ」
「う、あ、ああああ゛あ゛っ……!!!!?」

胸の突起と、自身に取り付けられた器具に反論しようとするより前にスイッチを入れられて、頭が真っ白になった。うそだ、なんだこれ、やめて、やめてくれ。

「ほら、どう? 何も考えられないだろう? こんなときに情報を要求されてごらんよ、普段通りにかわせるかい?」
「ひ、ぐ、ああああ、や、ひ、あ、うう……!!」
「だから今のうちに耐性をつけておこう、臨也。大丈夫、君ならきっと乗り越えられるよ」

他にも色々準備してるから、安心していいよ。新羅の言葉に、これほどまでに恐怖を感じたことなどない。どろりとした粘液を後孔にぬりつけられて、ひくりと疼く。そのまま、またよくわからない器具を埋め込まれて喉が引き攣った。

「我慢だよ臨也。今度は電気が流れるけど、頑張って」
「うぐ、あ、やら、しんら、あ、ああああ、っ……!!」

もう頭の中が真っ白で、涙がぼろぼろと零れおちる。新羅が怖い。ねえ新羅、お前、なにがしたいんだよ。無理だよ。
流れる涙を新羅の細い指が拭う。ああ、俺、この指が好きだったんだ。どうしてこんなことになってしまったんだよ、ねえ新羅、しんら。

「さあ、まだまだこれからだからね」

早く終わってくれよ、頼むから。悪い夢であってくれ。夢ならば、まだ、許せるから。





永永無窮
調教のおじかんですよ





【永永無窮】
いつまでも永遠に果てることなく続くさま



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企画「イデアの亡骸」様に提出させていただきました。
新臨おいしいですmogmog


2010.8.22

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