「花子ちゃん、俺の誕生日なんだけど一生に一度のお願いがあるんだよね」

「ん?何なに?」

ナース服


「…………。」

「その軽蔑した目やめてくれよ!
 でも花子ちゃんのナース服見られたから俺ってラッキー!」

そういって、ニヤニヤしながら
上から下までを舐めるように見てくる千石。

あ、鼻の下デレデレだ。

可愛い女の子の前だと、
いつも鼻の下のばすんだよね、千石は…!


「…………。」

「"お注射うちますよ"言ってみてよ?」
頭に針刺しますよ

「こ…怖っ!花子ちゃん、
 そんなことしたら俺死んじゃうって…!」

そういって、へらへらする千石。
――…なんだろ。

こんなに女ったらしなのに、
振り回されてる自分ってさ。

ものすごくダサいっていうかさ。

それでもやっぱり好きなんだよね。うん。
好きって気持ちは怖いよ、本当。


「……千石ってさ」

「んん?」

「……私のこと本当に好きなの?」

そういうと――。
千石が少し困ったような表情を見せた。

って、普通そこで困るか?
やっべ、今本当にどついたろかって思ったけど!



…正直、少し傷ついたような。


「んー…なんていうかな、」

「………。」

「……好きだけどさ、」

何だその言い方は…!
物凄く胸が痛くなった。


「……言葉には表せないんだよね。
 俺、態度に表すタイプだからさ」

そういって、千石がぎゅ〜っと私のことを抱きしめてきた。
……なんだなんだ!

そんな可愛いことしたって、

惚れてなんか…!惚れてなんか…!




「そういう花子ちゃんはどうなの?
 俺のこと、好き?」

「――」

「……まあ、答えは聞かなくても
 俺は分かってるけどね」

そういって――。

ほっぺに、ちゅっとされた。
カァァァァッ。


「ちょ、何し――」

「愛してるよ。花子ちゃん」




そういって微笑む千石には適わないと思った。



「(うぬぬ…。
 かなりのやり手め…!)」

「(喜怒哀楽激しくて本当可愛いんだよね、花子ちゃん。)」



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