ガンダムTシャツ
「なぁなぁ、花子。
俺な、花子とおそろいのもんほしくって…買ってきてん。」
そういって、恋人のユウジが私に渡してきたものは――。
「いらんわこんなもーん!」
バシッ!
「あ、何すんねん!」
そういって、半泣きになりながら
私の投げつけたガンダムTシャツを大事に抱えるユウジ。
おそろいのもんがガンダムTシャツってどういうことじゃい!
「お、俺なりに考えて考えて考えたなりの結果やねんぞ!」
「それがガンダムか。」
「おう!」
そういうと、「ほら俺とおそろいやんか!」といいながら嬉しそうに袋からもう一枚ガンダムTシャツを取り出すユウジ。
――ここまでくると、末期症状っていうか…。
素で言ってるんだよね。
それにしても、何故アニメへ走った…?
「…マジで言ってるんだよね。」
「え?んんん?」
「いや…こっちの話し。」
ユウジのこんな天然なところに
私は惹かれたのだが――が。
たまに、この天然についていけないときがある。
それがまさしく今のガンダムTシャツだよ。
次には「おそろいでガンプラ買ってきたで〜!」なんて真剣に言ってきそうで怖い。
「……な、なぁ。」
「ん?」
「もしかして――…いらへんかった?」
そういって、私のほうを
心配そうな目で見つめてくるユウジ。
――あーぁ、私の負けだなぁ。
こんな顔で見られたら、
いくらいらないと思ったとはいえ――…受け取らざるをえない。
「…そ、そんなことないよ。」
「ほんまか?!あーよかったわあ。
白石に相談した甲斐があったわあ!」
「……っは?白石?」
ちょっと待て。
――もしかして、これって。
「おん!
白石に"おそろって何がええねんろ。"って相談したら、
"ガンダムTシャツがええ。"言うてくれてん!
あいつほんまええやつやわあ。」
「(白石…。あいつマジでしばく。今すぐしばく。)」
.
..
...
「へっくしょん!ううー…鼻水でてきたなぁ、」
そういいながら、
鼻水をすすった。
…あー、ほんまユウジと花子のコンビおもろいわあ。
花子はほんまはいじられキャラねんけど、
ユウジがその更に上をいくいじられキャラやから――。
いい味だしとれんろーな。
似たもの夫婦ってやつや!
はは。
そんでもって、ユウジの相談が『おそろいのもの』について。
…せやけど、
ほんまは冗談のつもりで"ガンダムのTシャツ"言うてんで。
ほんまにそれを買うとか思わんだわ。
「(……あぁー、あの2人…ほんまいじりがいあるわ。
俺がもっとラブラブにしたろ!)」
「(白石どこじゃーい!)」
「(あー、花子が喜んでくれたみたいで
ほんまよかったわあ。)」