「いらっしゃいま――………ぁっ。」

「……って、あれ?花子じゃん!」
そういって、ブン太が私に手を振った。

マクドナルド店員


マックでバイトしていた私は、
運悪くブン太と出くわしてしまった。

…っていうか、1人?

「何で1人なわけ?」

「だって腹減るじゃん。たまにはマックもいいかなーって思ってさ」

そういって、ブン太がメニューを見て
目をキラキラ光らせている。

「……ご注文は何になさいますか。」

「んじゃぁ、スマイル10個!」

今すぐ帰れ。

「っていうのは嘘で、花子をテイクアウトしよっかな〜

そういって、
ニヤリと笑うブン太。

「……っで、ご注文は何になさいますか。」

って反応なしかよ!
 っち、いいよ…じゃあ、テリヤキのセットとフィッシュ1個とチーズバーガー3個とマックポーク2個。
 んでもって、ポテトのLが2個とチキンマックナゲットに、
 シャカシャカチキン3個で!あ、飲み物はファンタのグレープ!」

それ1人で食べるの?

「あたりめぇじゃん!」

「………。」

うっわぁ…。
ブン太って、こんなに食べてるのにどうして太らないんだろうなあ。

あ、でも名前は「まるいぶんた」で
丸いイメージをさせてくれてるよね。

…作者の陰謀?


「なぁなぁ。で、いつバイト終わんの?」

「え?ナンパならお断りしま怒るぞぃ?

「すみませんでした…!」

そういって、謝る私。
なんだよ、ちょっとふざけただけじゃんか…!

「後30分程度で終わるけど――」

「なら、終わるまで待ってるからな!」

そういって、ブン太は薄気味悪いドナ●ドの絵柄が書いてある
ナンバーの札をトレーにのせて持っていく。

…いや、それにしても
ブン太にバイトしてる姿見せるとか…物凄く恥ずかしい。

今まで知人に見つからなかったことが奇跡的だったもんなぁ。


.

..

...



「終わったよ。」

「遅い!いつまで待たせてんだっ!」

そういってるわりには、
ちゃっかりほとんど食べてるんだね。

「ほら、やる。」

「え?ポテトのカス?カスくれる?

「うっせぇよ、いいから食べろぃ。」

何を無茶言ってるんだ、こいつ…!
ポテトのカスっておま…!
いらねーよ、ほとんど食べてないに等しいじゃん!


「――…まぁ、っていうのは嘘。
 ほらよっ」

「………!」

そういって、ブン太が私にすっとチーズバーガーとシャカシャカチキンを差し出してきた。

ナイス、ブン太!
あなたはケチじゃなかった!


「ありがとー!喜んでいただきます!」

「おう!まぁ、バイト頑張ってたみたいだしたまには…な?」

「あ。ピクルスいらない。っぺ。」

って、トレーの上に口にいれたピクルスだすなぁぁっぁぁあ!

そういって、ブン太が全力で私の頭をぶん殴ってきたので
意識が失いかけるかと思いました。はい。


「い…っつ!
 だって苦かったもん。」

「きたねぇよ、口にいれたならごっくんしろぃ!」

あ、今ブン太の喋り方可愛かった。
なんていったらまた殴られるから言わないでおくけど。



「…ったく。
 お前ってさ、本当かわんねぇよなぁ」

「何が?」

「…いや、もういいから。
 いいから、さっさと食べろぃ」

そういって、ブン太がぷっと笑った。
…?どこがおかしかったんだろうか。


「……なぁ、花子」

「んー?」







ペロッ。

唇を這った舌の感触。
――今私、唇をなめられ…?!

「ケチャップついてたぞぃ」

「〜〜〜!あんたねぇ!」

「……いいだろぃ?
 お前のこと――好き、だから。」


そういってじっと私を見つめてくるブン太。
あー、どうしよ。

どうすれば…。


「………す、好き?ピクルスが?」

ちげぇけど。っていうか、もーいい。
 …俺のこと好きじゃねぇって丸分かり」

そういってブン太がへらっと笑った。

「…けどさ、俺諦めねぇから。
 結構しつこい男なんだぞぃ。

 ――見てろ、いつか惚れさせてやるからな!」


そういったブン太が、
宣言した通りに惚れて付き合うことになったのはまた違う話し。



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