「よっしゃ、できたー!」

見事にチーズinハンバーグの出来上がり!
ユウジとの連携プレーのおかげなんだよね!

「花子!ナイスコンビネーションやったな!」

そういって、ユウジとハイタッチをした。
――…触れた手と手。

やっべーやっべー!
ユウジとハイタッチしちゃったよ…!




「「「いただきまーす」」」「………。」

そういって、私達は料理を食べ始めた。
箸でハンバーグを半分に割ると、
中からどろりと濃厚なチーズが出てくる。

パクッ。

……っ!やばい、かなり美味しい…!
私1人じゃ100%こんなに美味しく作れなかっただろうなぁ。


「ユウジ、隠し味でもいれたの?」

「ん?おぅ、、入れたで。
 教えたろか?」

「うん、教えて!」

私はメモ帳を取り出すと、
ユウジのいった調味料をメモに書き綴った。

……ユウジって頼りになるなぁ。
優しいし、料理できるし…

話してると、物凄く楽しいし。

それに、笑った顔がかっこいいんだよね。

やばい。
惚れ直す。


「――…ごちそうさま。」

そういって、ブン太が半分以上を残して席を立ち上がった。
――美味しく、なかったのかな?

蔵は気にしないで1人でマイペースに味噌汁をすすっている。
ユウジは私のほうをチラリと見て…小首をかしげた。

うーん…私が何とかしなきゃな。


「ちょっと、行ってくるね」

そういうと、私はメモ帳を机に置いて、席を立ってブン太の後を追った。




.

..

...


――何やってるんだろ、俺。

気付いてしまった。花子の気持ちを。
そして昔言っていた言葉が誰を指しているのかを。


『あの…さ。学ラン着てて、
 緑のバンダナの男の子って分かる?』




「………一氏、のことだったのかよ。」

キッチンで2人で楽しそうにしながら、
ハンバーグを作っていた。

――それに、
玉ネギが目にしみったとき…。

一氏のやつ、花子のこと物凄く心配してた。

…俺の入る隙間なんて、どこにあったんだよ。
一氏は花子がずっと好きだったやつ。

一目ぼれで、会いたいって言っていた人物。

…俺が、今更どうにかしたってどうにかなることじゃない。
こんなことになるなら――…お別れの時、
花子に告白しとけばよかったのかな。


「………太、……ん……太!」

「あーやべぇ。俺幻聴まで聴こえるようになったのかな。」

「ブン太!」

そういって、よく知っている声が後ろから聴こえてきた。
…な、んで。


「はぁ…はぁ、ぶ…ん太」

「…………。」

後ろを振り返る。
――馬鹿じゃん。

夜中に、好きでもない男を追いかけて公園まで来て…。

本当に、どうしようもないくらい馬鹿なんじゃねぇの。


「ブン太…ハンバーグ、まずかった?」

「………。」

「それとも、私なんかしちゃった…?
 怒ってる、ように…見えたから」

違う。
花子は何も悪いことをしていない。

…何も、悪くない。


「ぶ…「好きじゃ、ねぇなら」

そういって、俺は――。
花子の首元のネックレスを引きちぎった。


「好きじゃねぇなら、
 こんなもんつけてんじゃねぇよ…!

 好きじゃねぇなら…追いかけてくんなぃ!」

「――…」

パラパラと、ネックレスのビーズが落ちていく音がした。
――そして、最後にはハートがポトリ、と地面に刺さる。

…花子の顔が見れなかった。

泣いているのだろうか。
怒っているのだろうか。

それとも、

俺のこと…軽蔑しているのだろうか。


「もう…俺に、関わんじゃねぇよ。
 お前なんか…花子なんか、大嫌いだ」


ごめん、嘘だ。

――"大好きだ"。




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