「えーっとねぇ、立海は「何や何や!俺も聞きたいっちゅー話しや!」……。」

気がつけば、
謙也を筆頭に私と蔵の周りにはみんなが食い入るように私の話しを聞こうとしていた。

――あ、ユウジ、
じゃがりこのサラダ味ぽりぽり食べてる。

なんか可愛い。

練習試合2


「――でね、スカートをまくりあげたのがてっきり柳生だ!
 って勘違いして後日柳生の顔面にアッパーくらわしたの!

 そしたらそれが実は柳生にばけた仁王だったってわけで…土下座して柳生に謝ったんだよねぇ。」

暴露している黒歴史。
語れば語るほど、
いろんな思い出が数々と蘇ってくる。

――全員で鬼ごっこしたとき、
何故か私以外のみんなが鬼で全力で逃げた覚えとか。

かくれんぼの時なんて、
見つかったら一週間幸村の奴隷とかだったからね!
(あ、確かジャッカルが一番に捕まってたなぁ…。)


「――でね、参謀はパンツの色言い当てれるんだよね。
 凄いでしょ。」

「……しょーもないっすわ。
 っていうか、立海って…アホばっかなんすね」

ちょ、立海馬鹿にすんなよ!
 少なくとも財前よりかはいい子ちゃんたちばっかだい!」

――何となく。
何となくだけど、財前は赤也と雰囲気が似てる気がする。

…どこが似てるかとかよく分からないけど、
年下でちょっと生意気なところとかさ。

まあ…赤也のがまだ可愛げがあるんだけどね。



「立海っていえば――…ゴリラみたいなやつおったよなぁ。」

そういいながらポリポリじゃがりこをかじるユウジ。

「あー、真田ね。
 真田は…他人に厳しいけど、自分に一番厳しかったよ」

――私は知っている。
幸村が入院して、チームをまとめあげれるか不安で仕方なかった真田を。

…彼はあんなふうだけど、
実は弱いんだ。

……頑固で強そうに見えるけど、
そんなの外見だけじゃわからないよね。



『――俺は…、
 俺が、幸村のかわりにチームをまとめあげることなんて…。』

そう弱音を吐いた真田の顔面に、
私が一発ビンタをかましてやったっけ。


『…真田、そんなこと言ってちゃチームのみんなの心がバラバラになっちゃうよ。
 ――勝ちたいんでしょ?
 勝って…幸村の、笑顔が見たいんでしょ?』


懐かしい思い出。
…今思えば、真田の顔面殴ったのってこれが初めてなんだよね。

常勝立海大。

――勝つことにこだわりつづける中学校。

だけど――…だけど。
私は四天宝寺に来て、何となくだけど分かったような気がする。


まだ日も浅いし偉いことはいえないけど。



…勝つことだけが、
全てじゃないんじゃないかな。

楽しむことって…凄く大切だよね。


今回の練習試合で、
私は立海の人たちにそれを伝えに行きたい。



…よし、頑張るぞ、私!



「はい、着きましたよー」

そういって、運転手さんがバスの扉を開いた――。

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