「……花子。いつも、おおきに。」

マネージャーになって一週間――。
いいんだろうか。ときめいていいんだろうか。

少しずつだが、ユウジが私に心を開いてくれているような気がする。


「あ!小春〜!待ってーやー!」

やっぱり私の気のせいなのかもしれない。

練習試合のお知らせ


「みんな〜!集合やぁ!」

そういって、蔵が合図をだすと
みんな一斉にぞわわわわっと集まりだした。

うわぁ…何かこうしてみると、
蔵って部長なんだよなぁ…変な感じ。


「――今週の土曜日、日曜日って練習試合をすることになったわ。」

そういうと、ざわざわとざわめく部員達。
…へぇー、早速練習試合かあ!

気合い入ってるなぁ。

っていっても、この辺の地域の中学とかとだったら、
私詳しくないから全然わかんないや…。


「で、参加校は――」

そういって、蔵が私のほうを見て微笑みながら言った。

「立海・氷帝・青春学園や!
 1日目は3校とも参加で、2日目は立海とだけってなったわ。」



……………。

ポカーン。


え?What?

「えちょ、待って!立海……?」

「せや、立海と練習試合やで。
 よかったなぁ、花子」

い い わ け ね ぇ だ ろ !

っていうか、ついこの間
感動の別れしたばっかなのに――1ヵ月経つ前に再会しちゃいますか。

早いなぁ。
っていうか、みんなに会えるのかぁ…。

でも、みんな私のこと忘れてたらどうしよ。
どうすればいいんだろ。

出会ってもスルーされたらどうしよ。

あぁー…もう、不安で仕方ない。



「情けないっちゅー顔しとんで」

そういって、謙也が私の頭をテニスのラケットで叩く。

「あだっ!」

「四天宝寺のマネージャーとして、
 いきのいい姿見せてやりゃええっちゅー話しや」

………そっか。
そうだよね!

私の頑張ってる姿、
見せなくちゃいけないよね…!

特に、ブン太に…!


っていっても、
ここ最近立海の誰もメールくれないんだよなぁ。

…常勝立海大。
負けることは、許されない。

だからこそ――今、練習に一生懸命励んでるんだよね。


あー…みんなに会うのが少しだけ楽しみになってきたかも。



「……あ、そういえばさ」

そういって、私は蔵に話しかける。

「ん?」

「蔵は――…試合に勝つことって、どう思う?」

何気なくそう問いかけてみる。
…立海は"絶対に勝たなくてはいけない"というプライドがある。

それに比べて、四天宝寺の練習メニューといったら
それの半分にも満たないほどゆるっとした練習風景。

これで上位に入れるこの中学って、
一体何の秘訣が隠されているんだろ…?



「んー…勝つこと、かぁ」

そういって、蔵は頭を少し悩ませてから自信満々の笑みで言った。


「勝つことよりも、1人1人が楽しむことが大切なんやないかって思うけどな。」

と。



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