送信者:ブン太
件名:お疲れ!
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今日はお疲れ様、
また練習試合組んだら
そんときはしくよろだぜぃ★
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ブン太からそんなメールが来て、思わずにやっとしてしまった。
何だかんだでブン太って可愛いよね。

っていうか、元の関係に戻って本当によかったー…。

いや、よくないか。



――ユウジに、ブン太とのキスシーン見られたし。
ユウジだけじゃなく、四天宝寺のみんなにあんなところ見られて…。

はぁ、無駄に勘ぐられなければいいんだけど。

動き出す歯車



「………っで、
 そこのトイレを開くと女の子が泣いていたんですわ…。」

そういう、財前の話しにみんながゴクリと唾を飲み込んだ。

――今何をしているのかというと、
怪談話をしているのです。

…100物語すっか!
とか言ってるわりには、14話ぐらいしかでてこないってどうよ。

ちらり、とユウジのほうを見る。

おぉー…財前の話しを真剣に聞いてる。
聞いてるけど――小春の腕にべったりしがみつきすぎじゃないかな。

「こ…小春、俺トイレいきたなった…」

「っし!これからええところやん!」



「――で、その女の子に"今何してはるの?"って聞いたらしいっすわ。
 そしたら、その女の子が泣くのをやめて、
 こういったらしいっすわ」

「「「「「……………。」」」」

私を殺した友達を待ってるの。あなたも殺してあげる。って。」


ぎゃぁぁぁっぁぁぁぁぁあ!俺、もうあかん!
 あかああぁぁぁぁあああん!」

半泣きになりながら部室をでていこうとするユウジを、
必死に抱きとめる小春。

「今のどこが怖いんよ!
 …全く、ユウ君ったら怖い話し苦手なんやから。」

「そーや。今のどこが怖いっちゅー話しや。」

「とかいってるわりには、謙也涙目じゃね?

花子カチ殴るで?

――みんなの反応面白いなぁ。

ユウジは真剣に怖がってるし、
謙也はびびりすぎて逆に静止しちゃってるし。
蔵は余裕こいてるみたいだし、
師範は少し冷や汗たらしてるくらいだし、
小春はユウジ見て笑ってるし。

――金ちゃんは話しにあきたのか部室のソファー全部を使って寝てるし、
財前はニヤリと笑ってるし。

うわ。
話しより財前のその顔のが怖いってば。


「あー…嫌や!小春!
 今日は一緒に寝ような!

ユウ君やめて。花子ちゃんおるまえでそないな不埒なこと言うたらあかん!」

いや、
寝ようっていう言葉を不埒な考えだって言う小春が不埒だとおもう。うん。

「――…ユウジ。ちょっとええか。」

「んぉ?あ…おん。ええけど…何?」

「ええから、ちょっと着いてこい」

そういわれ、
ユウジが少し蔵を怪しむような目をしたが――。

渋々小春から離れて、蔵の後ろについてどこかへ行ってしまった。



「…行っちゃったね、2人とも。」

「行っちゃいましたね。先輩、気になってるんじゃ?」

「気…気になってなんか!」

そりゃ―気になりますとも!
みんなの前では話せない話しってなんだよ!

…でも、蔵の表情。
凄く暗かったなぁ。



「あ、そういえば謙也。
 今日の宿題終わった?」

「んなもんちゃっちゃとやってもうたわ。」

「うつさせてほしいんだけど!」

っは?誰に口きいとるん?

ぞわわわわ!
誰ですか、このお方は…!

謙也が黒くなった…!

「いや…あの、うつさせてください。ガチで。」

「……しゃーないなあ。
 ええわ、これ持ってき」

そういって、謙也が宿題のプリントを私に渡してくる。

「わーい!やったー!」

そういいながら、
自分のカバンを探って宿題のプリントを探すが――。

あれ、ないぞ。

おかしいなぁ、ロッカーに置いてきちゃったかも。


「宿題ロッカーに置いてきちゃったと思うからちょっと取りにいってくるね。」

「はいはい、いってらっしゃい」

謙也に見送られて、
私は部室からでた。

――早く取りに行って、
早く宿題うつしてしまおう!

なんて悪知恵なんだ!


そんなことを思いながら、走っていると――。

ドンッ!

「っきゃ!」「うぉ?!」

残念ながら、後者のほうが自分の叫び声ってね。
っていうか、誰かにぶつかっちゃった。
謝らなくちゃ――。

「ごめんなさい――…大丈夫?」

「え…えぇ、大丈夫です。
 こちらこそ、すみません…」

そういって、黒髪のパッツンの和風な感じの少女がペコリと頭を下げてきた。

っわー…肩幅狭い。
っていうか、小さいし…本当、女の子って感じ。

「……じゃ、じゃあ私はこれで――「あの!」

そういうと、女の子がモジモジとした感じで話しかけてくる。

「え?」

「あ…あの、男子テニス部のマネージャーってもしかして…?」

「……はい、私ですけど」

そういうと、
その子が目を輝かせて私を見てきた。


「あぁ、やっぱり!
 ――是非、一度お顔をお伺いしたかったんですの。」

「………?あ、あぁ…そうだったんですか。」

「……ふふ、よろしくお願いしますわ。
 田中花子さん。」

――ゾクッ。
あ、やばい。

ただでさえさっきみんなで怪談話で盛り上がってたから何だか怖くなってきた…!


「あ、あはは…!ありがと、じゃあね!」

そういって、
私はロッカーへと走り出した。

…何で名前知ってるんだよ!
私顔広くないとおもうんだけど。



「………田中花子発見した。
 ――あの女、消してやる…」


少女は、そう呟いて微笑んだ。





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