『…そっか、せならよかったわ。
 俺は練習試合行くから、ユウジ。

 ――花子の看病はお前に任せたで。』

白石はそういうと、練習試合へと行ってしまった…。

看病とキス


「…………。」

とはいえ、どうすればいい。
とりあえず、丸井家に帰ってきたが、
(ご親切に鍵がかかっていなかったけど、大丈夫なんかいや…。)
俺も花子も全身雨に打たれてびしょびしょ。

――洋服かえなあかんなんやろ。

…せやけど。
いくら、女子…というか、花子に慣れたとはいえ
出来るのはハイタッチくらいまで。

…い、意識して触るなんて…俺には…。


「ん……っ」

頬を赤くして、苦しそうにしている花子。
――このまま何もせぇへんだら、死んでまうかもしれん。

せやけど…!

そんな葛藤をしたのちに、
一つの決断を下した。


「……き、着替えさせたるしかない。」

こんなんほんのちょっとのことやん…!
せや、小春や思えばいいねん。

花子は小春や、花子は小春や、花子は小春――。

そう思いながら、丸井の着替えから適当にTシャツとズボンをとって、
花子のポロシャツに手をかけた。

「……花子。
 こればっかは堪忍してな。

 花子は小春やぁぁああぁぁ!

そう叫びながら、
彼女のポロシャツのボタンを全部開けて、
あまり見ないようにしてTシャツに着替えさせた。

――やばい、冷や汗ダラダラや。

手に汗にぎっとるし…。
なんか、試合以上に緊張しとる。

次は…ズボンか。

「い…いくで!」

花子のスカートのホックを開けると、すかさず下ろしてズボンに履き替えさせてあげる。


「(……なんか、これじゃあ
 花子がリカちゃん人形みたいやん)」

そんなことを思いながら、花子を抱きかかえると丸井のベッドの上におろして毛布をかけた。

「………花子、大丈夫か。」

「………ん…っ」

「…意識、はあるんやよな。
 今薬とってきたるし待っとって。」

そういうと、俺は冷蔵庫から適当にいろんなものを取り出す。

………って!
何やこの冷蔵庫!

チョコバナナに、ショートケーキ、シュークリームにオレンジゼリー?!
甘いもの多すぎやろ…!

ため息をついてから、
肝心の薬に手をかけた。

「んー…これは咳用やろ、こっちは――あ、熱用発見したわ!」

とはいえ、液体やけど…飲んでくれるんやろか。


「(まあ、やってみんなん分からへんわな。)」


部屋へ急いで戻ると、
説明書の指示に従って液体を附属のコップに入れてはかる。

「よし…こんなもんやろ。
 花子、薬やで」

「………」

「…飲まな、楽ならんで。」

そういって、彼女の口の中に無理矢理液体を入れさせようとするが――口がなかなか開かない。
頑丈に歯で閉じられとるし…!

「(こういう時はどうすればええねん…!)」


「……ん、……」

花子は今にも苦しそうにもがいている。
――これは、しゃーないって…いうやつやろ。


「……ほんま起きたら俺殴ってもええから――。
 せやから、我慢してな」

そういうと、俺は液体を口に一気に含み、
彼女の唇を割るようにして無理矢理流し込んだ――。


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