「チーズや。」 スーパーにて。
「おくら。」
「ケーキ。」
「ケーキは100%却下。」
私は、とある質問をした。
『ねぇ、ハンバーグに入れてほしい具材ってある?』
そう聞くと、
3人好き勝手に自分の食べたいものいってるし。
…特に、ケーキはありえないだろ。
ブン太のことを優先してあげたいが、
これだけは譲れない。
「丸井君、常識ないとかあかんわー」
「う…うっせぇな!ってか、オクラとかのがありえねぇだろぃ!」
「……なっ!オクラなめんなや!」
そういって、
スーパーだということを忘れてギャーギャー店内で騒ぐ3人。
……あぁ。
関係者だと思われたくない。
(あ、周りのおばさんたちがこっち見て笑った。)
「今時チーズ…っていうか、チーズリゾットやな!そんなこと言えばオクラなんてカス以下やけどな。」
「な…なんやねん!
オクラの悪口ばっか言いすぎやわ、お前ら!」
「オクラオクラうるせぇ!
アスパラとそんなにかわんねぇだろぃ!」
「「それ全然ちゃうで。」」
そこで意気投合するユウジと蔵。
――でも、
何だかんだでかみ合わないような3人が仲がいいみたいでよかった。
ほっとした感じ。
…これなら、今夜のお泊りも安心してできるだろうなぁ。
首に感じる冷たい感触。
――ブン太がくれたネックレス。
つけていること、気付いてくれたかな。
「オクラより、甘いもの行こうぜぃ!甘いものー!」
そういって、お菓子コーナーへダッシュするブン太。
気付くわけないか。
と、諦めて私はその後ろをついていく。
「ブン太。甘いもの食べ過ぎたら太るよ?」
「いいじゃねぇか。
糖分だって体には大切なもんだろぃ」
「せやけど、糖分っちゅーもんはとりすぎたら体に害与えるねんで。」
「お、でた。白石の健康オタク!」
そういって、目をキラキラ輝かせているユウジ。
…健康オタク?
「え?健康…オタク?」
「おん、白石はな!
女子にもてるために日々努力して、筋肉つけてがんばっとるんや!」
「ユウジあかん。ネタバレしたらあかんって!」
そういって、慌ててユウジの口を押さえつける蔵。
――…へぇ。
何気なく、"蔵ってもてるんだなあ。凄いなぁ。"って思ってたけど…。
そっか。
自分なりに努力して、それが認められて女子からもててるんだ。
何だか…少し見方が変わったかもしれない。
「へぇー。
健康オタクって地味だな。」
さりげなくそういったブン太の言葉に
本気で落ち込む蔵――。
スーパーのど真ん中で道塞いで座り込むなっつーの。
「う…、嘘だって!
んなもん本気にすんなっつーの!」
「せやかて丸井君今言うたやん。
地味言うたやん。」
「――い…言ったけど…!」
「ほーら認めた。
はい、墓穴ほった〜」
そういって、ブン太を指差してあざ笑う蔵。
何なんだ、このプレイは。
蔵、どんだけ地味って言葉に傷ついてんだ。