「どんなに強くても、勝てたとしても
楽しくなくちゃダメなんだ――…って、四天宝寺にいて分かったんだ。
だから…みんなにもさ、言おうと思って…」
そういって、ちらっとみんなの方向を見る。
うわ…!みんな真剣に聞いてるし!
練習試合5
「――…クスっ、ありがとう、花子。
やっぱり…君は、
どこにいても変わらないんだね」
そういった幸村の言葉が意味深でよくわからなかったが、
とりあえず褒められたみたいなのでよかった。
っほ。
――テニスやるなら、
やっぱり楽しまなきゃ…ね!
よーし…!
「っじゃ、それだけ!
蔵が待ってるから私戻るね!
じゃあ、今日と明日頑張ろう!」
そういい残すと、私は嵐のように走り去った。
――あー、言いたいこといったらスッキリしたなぁ。
「……花子先輩、すっかり四天宝寺に慣れ親しんでるみたい…っすね。」
「…気にくわないの?赤也。」
「……だって、
花子先輩はうちんとこのマネージャーじゃないっすか。
今は…四天宝寺のもんでも、それは変わらないことっすよ。」
「……そう、だね」
そういって、花子を見つめるメンバー達。
「(…花子は、やっぱり愛されてんだな。
何だかんだいっても。)」
ブン太はガムをぷく〜っと膨らませた。
.
..
...
『コールします!1コート、財前対切原!』
「おぉー、ルーキー対決だ」
2コート、3コートと次々といろんな人たちがコールされていく。
ふへぇー…みんな強そう。
っていうか、実際強いんだもんねぇ。
「よーし、じゃぁ私は財前の試合見よっかな。」
大好きなユウジはまだコールされてないみたいだし、
後は氷帝とか青春学園の人たちばかりでよく分からない試合ばっかだし。
――まぁ、どの試合もぶっちゃけ気になるけど
たまには生意気な財前の応援でもしてあげよっかなぁ。
「財前、頑張れ」
「…先輩きもいっすわ。
あ、今ので俺のHP100から50にダウンしました。」
「って、何でさがっとるんじゃーい!」
どんだけ私の応援がショックだったんだよ…!
っていうか、むしろライフ上がるところだろ、そこ…!
全く。
財前は素直じゃないなぁ。
「では、これより第一試合を始めます――」
そんなこんなで、始まった第一試合。
…どっちが勝つんだろう。
財前の実力はまだよく分からないが、
彼自信まだ最大を引き出していない気がする――。
それに比べて、赤也はピンチ状態に陥らなければ
本気モードにならない。
…とはいえ、本気モードの赤目の赤也になったら物凄くめんどくさい。
何をいっても言うこと聞かなくなるからね。
…本当困った2年同士だ。
「……じゃあ、行きますよ」
そういって、赤也がにやりと笑ってサーブをした。