「よっしゃー!着いたで、立海!みんな、楽しんだもんが勝ちや!」

蔵がそういうと、みんなが笑顔で「おー!」といった。
…この笑顔が、たまらなく和む。

「……じゃがりこ、おいしいわぁ。」

「……ユウジ、まだ食べてんの?」

「おん。花子も…食べる?」

そういって、大切なじゃがりこをすっと私に差し出してくれるユウジ。
どうしてだろう?
凄く抱きしめたい。

練習試合3


「わー、わー…母校だあ」
校門の前に立ち、
思わず涙ぐみそうになる。

――みんなに、また会える。

そう思っただけで胸が暖かくなった。


「っわー…立海って偉いでかいなぁ。
 あ、テニスコートはあっちか!」

「…謙也さん、あんまはしゃがんといてください。
 四天宝寺の恥になりますんで。

「んやと、財前!生意気な後輩やわ〜!」

そういって、
財前の頭を拳でグリグリとする謙也。

――うわぁ。

財前凄くうざそう。



「ねぇねぇ、花子ちゃん。
 立海ってイケメンたくさんいたわよね〜!」

そういって、小春がキラキラした瞳を光らせた。

「それに、氷帝に青春学園…。
 あー、もう!あたし選べない!」

「な…なんやて、小春!
 俺がおるやないか!」

そういって、小春にべっとりとしがみつくユウジ。



触んなや。一氏。

「……小春ぅー…」

目じりに涙を浮かべた。
可愛い。ユウジの可愛さ半端ない。


小春もっとユウジをいじめてやれー…!
なんて思ってたら、
後ろから誰かに背中を蹴られた。


ドンッ!

「あいたたた…!誰じゃーい!」

そういいながら、後ろを振り返ると――蔵がいた。

「何。」

「ん?何もないけど、腹立ったから蹴っただけやん。」

私のどこが腹立つんだよ…!ちょ、お前なぁあぁぁぁあ!」

そういって、蔵と取っ組み合いを始めようとした時だった。



「花子せぇ〜んぱああぁぁぁぁああぁぁぁい!」

よく聞き覚えのある元気で明るい声――。

そして、私の背後から聞こえてくる足音。
あぁ…これは嫌な予感gドンッ!

ぐは…っ!

「花子先輩、会いたかったっすよ〜!
 俺もう寂しくて寂しくて…!」

――その瞬間、
後ろから抱きつかれた反動で前のめりに倒れた。

そんな私をひらりとよける蔵。

恐るべし。反射神経恐るべし…!



「わ…分かった、分かったから離して…!」

「後…10分」

って、やってられっかぁっぁああ!

そういうと、
赤也の顔面を思い切りグーで殴る。

こうでもしないと離してくれないからね、彼は…!

「あ…あいたたた…、何するんっすか!」

「それはこっちの台詞よ!
 っていうか、一番に出会ったのが赤也っていうのが嫌だよね。

「なんでっすか!」

そういって、あーだこーだ言いあっていると、
四天宝寺の連中の目が点になっていることに気付いた。

…あ、やばい。

つい身内で盛り上がってた…!


「あ、く…蔵、ごめ――「行くで、花子」

そういって、強引に蔵に手を取られる。
わわわちょ…!


「あ、花子せんぱ――…って、いっちゃった系かぁ」

そういって、頭をかく赤也。



「(…ふーん。なんか、あの白石とかいう部長…。
 花子先輩持ってたのが気にいらねぇ。

 潰してやりてぇな。)」

「おーい、赤也〜!何してんだよ、
 こっちこーい!」

「あ、ジャッカル先輩!今いきますって!」

そういって、赤也はニッコリと微笑んだ。


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