財前光に<毒舌>禁止令



「あー、先輩マジセンスないっすわぁ。
 そのパンツじゃ嫁の貰いて一生きませんね。

うるさいな。
 っつか、いい加減部室からでていけよ!」

とかいいつつ、
私は何とかジャージに着替え終える。


「俺、黒とか白の下着が好きなんで、
 今度それ履いてくださいね」

お前は親父か。
 ってか、そんなこと言われても私の意志は揺るがないよ。

 ピンクisふぃーばー!」

わけのわからない英語を適当にずらずらと並べて読んでみる。
あ、何かわけのわからんこといってるな、私。


「っていうか、それより財前って毒舌だよね。」

「…そんなことないっすわ」

いやいや、毒舌だから。
 あ、今から毒舌禁止令ゲームしよ!」

「……っは?」

そういって、気がぬけたような顔で私を見てくる財前。


「だから、毒舌禁止令ゲーム。」

「…なんなんすか、それ。」

「毒を吐いたら財前は私にジュースをおごらなくてはいけないゲーム。ほら、どうだ?のったでしょ?」

「でも、俺は得してないじゃないっすか。」

あ、本当だ。
自分の利益ばっかり考えてたよ、私。


「…んー、じゃあ…。
 俺が勝ったら、俺のほっぺにちゅーとかどうっすか?」

しかし断る。

「何故……?!」

「嘘うそ。別にそれぐらいならいいよ」

まあ、どうせ財前だもん。
毒舌吐かない財前なんてただのゼンザイだからね。



「あ、そういえば謙也が新しいシューズ買ったんだってさ」

「へぇ。」

「………うん。
 で、ピンク色なんだってさ。」

「そうなんすか。」

「………………うん。
 で、早速靴の片方がどこかに消えたんだってさ。

「ふーん。」


こ の や ろ う … !

一言で今日一日を乗り越えようって魂胆だな、
こいつ…!頭いいな、こいつ…!


「でね、でね――!」


.

..

...



「じゃあ、先輩。
 約束どおり、ほっぺにちゅー。

「……はい。」

見事、負けました。
どんな話題をしても、財前は「ふーん。」「あ、そうなんすか」と一言を繰り返すばかり。

勝てるわけないじゃん…!


「花子先輩。早く」

「……仕方ないなぁ」

まあ、約束だもんね。
そう思い、私は財前の頬に優しくキスをした。

――って、うぇ…?!

グイッ。


「――…!」

思考停止。
ちょ、待て。何で財前の顔がこんなに至近距離なの。

っていうか、
唇にあたってるこの感触って…。




「ごちそうさんでした、先輩」

そういって、にやっと笑いながら――。
財前は荷物を持って出て行く。


………っ!

1人で頬を赤くする私。


「あ…あのやろー…!」


私のファーストキスを奪った彼。
――もう二度と禁止令ゲームとかやらないでおこう。

そう、心に決めたのだった。


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