一氏ユウジに<小春>禁止令



「えー、今日からユウジに禁止令を出させていただきます。
 その名も小春禁止令。

「――っな?!
 何を言うとるんや、花子!」

そういって、涙目で私を見てくるユウジ。
あ、ちょっと可愛い。

何そのちょっとうるんだ瞳。

ちょっと可愛くっても許しません。


「毎日毎日ユウジが小春にベトベトしてるから、
 小春がいい迷惑してるんだって。」

「っは、何を嘘言うとんねん。
 小春は俺のこと愛しとんねんぞ。

残念やけど、私は花子ちゃん愛しとるからユウ君バイバイ。

「って、小春ぅぅぅうぅぅぅ?!」

そういって、半泣きになりながら
小春の腕に抱きついているユウジ。

うわぁー…小春、心底うざそうな目してんじゃん。

「小春ー!
 俺の何がダメやったん?どこ?どこや?」

全部。

「なおしようないやんけー…!
 うぅ…俺、もう死ぬしかないわ…。」

そういって、ロッカーの隅で
まるでキノコのようにじめじめといじけはじめるユウジ。

――あ、ちょっといじめすぎたかも。



「(小春…やりすぎだったかな?)」

「(たまにはいいやろ。
 だって、ほんまにしつこいもん)」

…まあ、確かに小春に溺愛してるからね、ユウジは。

――あーぁ、顔はいいのに
何か勿体ないなあ。


「あー…あのさ、ユウジ」

「………。」

「小春は、ユウジとしか組みたくないと思ってるよ。きっと」

「――ほんまか?!小春ぅ!」

そういうと、
さっきと一変して小春に抱きつき始めるユウジ。


ゲシッ。

「あっ。」

ユウジ、今小春に足蹴にされてたよ。

「いった!何すんねん、小春!」

ゲシッ。

「あっ!」

ゲシッ。

「いでっ!」

ゲシッ。

「とぅあ!」

ゲシッ。

「ふぬぅ!」


.

..

...





「っでな、小春ぅ〜!」

ほんまうざいわ、一氏。はよ消えろや。

「嫌や!小春が俺蹴ってくれたら考える!」

――なんでかしらないけど、
あの日…ユウジが小春に蹴られることに快感を覚えたらしい。

本当、人間って分からないよね。

あ、ってかユウジってドエムだったんだ。



「小春ぅ〜!」

「っきゃー!花子、助けて!ほんま助け…って、一氏お前どこ触っとんのじゃぁぁっぁああっ!

ドゴッ!

そういって、ユウジの顔面にアッパーをくらわす小春は
本当に凄いなぁ…。

自称乙女はどこにいったんだろうな、とか思いながらも私は今日も生きている。




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