遠山金太郎に<関西弁>禁止令
「ねぇ、金ちゃん。
たこ焼き買ってあげるから、ショタキャラになってくれる?」
「え、ほんまかー?!
ええでー!
で、ショタキャラってなんなん?!」
そういって、金ちゃんが食いついてきた。
…本当に馬鹿だなあ、この子。
「ショタっていうのはね、幼女の男バージョンてきな感じ」
「ふーん。で、幼女ってなんや?」
「えーっと、幼女っていうのは幼い女の子のことだよ。」
「ふーん。
じゃあ、花子は幼女やな!」
「え?ごめん、何言ってるかわかんない。」
何だろう。
金ちゃんと話すと、いつも話しがかみ合わなくなったりすることが多い。
「幼い女の子って、花子やん!
性格とかどっからどう見ても幼稚園児以下や!」
「――って、以下かい…!
私だって1+1くらいは解けるし、時計だってよめるわよ…!」
金ちゃん、私のこと馬鹿にしすぎだろ。
どんだけ私勉強できないんだ。
っていうか、人並みですから。うん。
少なくとも金ちゃんよりかは頭いいと思うんだけどな。
「――っで、ショタってどんなことすればええの?」
「えっとね。
"お姉ちゃん、遊ぼうよぉ!"ってな感じで私の袖引っ張ってくれる?」
っていったはずなのに――!
金ちゃんは、私の袖を引っ張らずに、
腰に抱きついてきた。
「って、ちょ…!金ちゃ…!」
「お姉ちゃん、遊ぼうよぉ!」
………。
っは。やばい。
今の金ちゃん可愛すぎで、家に持って帰ろうかと思ってしまった。
あー、やばいなあ、私。
…こんな弟いたら最高だわ、本当。
「なぁなぁ、言うたからたこ焼き買ってくれるやろー?!」
「いや、もう1個あるんだけどさ」
「ん?なんや?」
「"お姉ちゃんは誰にも渡さないから!"ってお願いします。」
そういうと、
金ちゃんが――上目遣いで、こういった。
「お姉ちゃんは、誰にも渡さないから!」
………ききき、金ちゃぁん!
「私はどこにもいかないわ、金ちゃぁん!」
「って、うわ?!
花子何抱きついとんねん、はよたこ焼き買ってーや!」
そういって、たこ焼きたこ焼きとダダをこねる金ちゃん。
――まあ、約束してたからね。うん。
買ってあげようではないか、是非とも!
「よっしゃ!
ほないっただっきま〜す♪」
そういって、美味しそうにたこ焼きをほおばっている金ちゃん。
っわー…っていうか、一口でかっ。
野生の猿みたいな食べ方してるよ、この子。
「花子、ほらあーんしぃや!」
「あーん…って誰がやるか。」
「っちぇ。やってくれるん思ったんに、酷いわぁ」
そういって、ぱくっと口の中にたこ焼きをつめていく金ちゃん。
…凄いなぁ。
っていうか、1分もしないうちにたこ焼き完食するんじゃないだろうか。
「――…っ!花子、み…水!水!」
「あ、はいはいはい!ほら、水!」
喉をつまらせたらしい金ちゃんに、
私の飲んでいたペットボトルの水を渡す。
――って、あ。
これって…間接、ちゅー…?
「おおきに!おいしかったで!」
そういって、金ちゃんがニッコリと微笑んだ。
…何だ、間接ちゅーだって考えた自分が馬鹿みたいだ。
っわー、恥ずかしい。
「…なぁなぁ、花子」
「ん?」
「キスって、どんな味がすれんろーな」
「っぶ!」
思わず、噴出してしまう。
――何言ってるんだ、この子は!
「なぁなぁ、教えてや!キスってレモンの味ねんろ?!」
「――金ちゃん。キスはキムチの味がするんだよ。」
「……えっ、キムチ?!
辛いやんけ〜!」
そういって、眉間に皺をよせる金ちゃん。
…ほんっと、騙されやすいんだよなあ。
それがこの子の憎めないところなんだけどさ。
「…なぁ、花子」
「ん?」
「……キス、してもええ?」
「――やだよ。
だって、金ちゃんたこ焼きくさいもん。」
「〜〜っ、花子のあんぽんたん!」
――金ちゃんと、キスかぁ。
そんな関係に発展するには、きっとまだまだ時間がかかるんだろうけど。
…まぁ、ゆっくりと二人で時間を過ごしていきたいと思ったりもする。
「なぁなぁ、花子」
「ん?」
「好っきやで!」