強制連行
合宿に行くか行かないか考えて考えて考えた結果――。
「よし。やめよう!」
だって今更合宿いったって、お前3年生じゃん?ってなるでしょ。しかもどうせ女子とかもいないだろうし、それなら家でゴロゴロしてるほうがよっぽど幸せな気がする。
「ってことで、赤也に言お――」
う、と思い電話を持った瞬間に赤也から着信がきた。おぉぉぉ…ナイスタイミング。ぴっと電話にでれば、赤也の元気な声が携帯越しから聞こえてきた。
『先輩!』
「あ、赤也」
『あのっすね、話したいことあるんすよ!』
「あー、それなら私も『明日6時に部室前集合!ってことで!特に荷物はいらないっすけど、さすがに下着とかパジャマとかある程度のものは持ってきてくださいっす!じゃ、俺は寝るんで!』……あ!」
私の言葉もまたないまま、赤也は電話をきった。え?ちょっと待てお前。私の意思はカチ無視なのか。
「(だからって、今から電話しても…)」
赤也のことだから電源切って寝ちゃってるだろうし。ってか、明日って!どんだけ無茶ぶりなんだよ、せめて1週間前に言うことだろう!
ああ…笑えない。本当、笑えない。
(うう…幸村ぁぁああぁああ)
(何?どうしたの、こんな夜中に電話して)
(合宿…いくことになった。だから、先生にいっといて)
(あぁ、そうなんだ。頑張ってね、ふふ)