相合傘をする
終礼が終わり、勢いよく外へ飛び出せばあいにくの雨模様にため息がもれた。
傘もってきてるけど、ザーザー雨だし……。これはいくら傘でも濡れること間違いない。足早に帰ろう!そう決めた時、後ろから私に声をかける人物が一人。
「ねぇ、傘入れてくれない?」
「………ダレデスカ」
「何で片言?」
そういってクスクス笑う淳。…淳とは絶対相合傘したくないなあ、何か傘の9ぶんの1くらいしか使わせてくれなさそうだし。
「知らない人とは相合傘しません、ではさようなら」
「全然知ってるでしょ」
「誰ですか」
「木更津淳」
「知らないなあ」
「じゃあ、観月」
「薔薇が似合いすぎてて一緒にいたくないから拒否」
「じゃあ、柳沢」
「だーねだーねうるさいから拒否」
「……じゃあ、赤澤」
「肌が黒い人は拒否」
「…………結局、誰も入れないじゃないか」
あ、あきらめてくれたか?そう思ったのも束の間、淳は雨が降っているにも関わらず私のところへ走ってくる。って、うそおおおおおん!
「何で?!何でくるの?!」
「いいじゃん、いれてよ。っていうか、入れろ。」
「すみません入れます、入れるから許してください」
満足そうに横でクスクス笑う淳。…やっぱり、この男とは関わりたくない!心底思う。
「あぁ、ちなみに言っておくけど、勿論家まで送ってくれるよね?」
「え?何これ強制?!」
「送ってくれなかったら……っね?」
っね?って可愛く言われても!可愛くねーよ!
心でそう思ったが、口にしたら最後、私の命はない。……はぁ、淳め…。今度亮にちくってやるんだから!見てろよ、ばーかばーか!
「あ、そういえばケーキ家にあったなぁ。家、あがってく?」
「え?いいの?!」
「(アホだなぁ…くいついてきた)いいよ、クスクス」
「ふぎゃー!私のショートケーキのイチゴ、食べたあぁぁああああ!」
「これ以上カロリーとったら花子が太るかな?って思って」
「そんな心配いらんわあぁあああああ!」