「ノープロブレム、謙也。」



……さっきから何あったんか花子に問いただしとるんに、花子はいっこうに口をわろうとはしない。『ノープロブレム』だの『アイドントノー!』だの言っているが、お前わざとらしすぎやろ。…ってかなんで英語。お前、英語苦手やなかった?



「せやから、俺はお前の手助けしたいって――」


「いい!いいから、謙也は廊下走ってこけてればいいから!」


「なんやその扱い…!俺どういう風に見られとんねん!」


「まあ、そういう風に。」


「…………やめれ、その哀れむ目。」


何で俺が同情されとんねん。もうわけが分からん。





「……なあ、俺ら友達やろ。」


「………。」


「やっぱ、3人一緒が一番やと思うねん。バラバラなんて…なんちゅーか、俺は嫌や。」


ありのままの想いを花子にぶつける。――だって、嫌やん。俺の知らん理由で勝手にバラバラなって関係崩れるとか。何あったかしらんけど、やっぱ喧嘩とかしたんなら仲直りさせてあげたいし。それぐらいのことなら俺やってなんかできるんちゃうん?



「花子――」


「告白、してん。」


「……っへ?」


「せやから、告白。蔵に…告白、してん。」


そういうと、花子は俯いてしまった。……え、告白?



「……それ、って――」



「……蔵のこと、好きやったから…大会も終わったし、丁度いいと思って告白したの。だけど、蔵には冗談にしか聞こえんかったみたい。っていうか、私が逃げたっていうのも入ってるけど…なんか、冗談にとらえられたことが悲しくって、逃げ出してしまってん。」



今にも泣き出しそうな花子。――俺、今とんでもないところに足踏み入れとんのちゃう?


花子が変態のほうの白石好きなんは薄々感づいとった。…あっちの白石は、ほんま感情を読み取られんようにしとるから全然分からんのやけど。



「……ごめん、謙也。なんか…3人一緒におりたいっていってくれたんに、私が勝手なことして…。」


「……ん。まあ、好きならしゃーないんちゃうん?隠したままにしとっても辛いだけやろ。」


「………うん。」


「……それに、告白したからって3人また元に戻らんっちゅーこともないやん。花子はどうしたいん?3人、一緒がいいん?」


「それは――!」



彼女の顔を見れば一瞬で悟った。……やっぱ、こいつも同じ気持ちなんや。




「なら、大丈夫。後は俺に任せぇ。」


「え?」


「じゃ、中庭にまっとれよ!絶対やからな…!!」



「え、ちょ!謙也!」


花子が俺を止める言葉が聞こえたが、俺はその声をふりきって走り出した。――なんや、俺って恋のキューピッドさんやん。何てええやつなんやろ、ほんま感謝しろやダブル白石このやろー。



キューピッド謙也





「(白石!見つけたで!)」


「(おー、謙也。今勉強中やからかまってやれんで。)」


「(勉強なんか後にしぃ!…それより、話しあんねん。)」


「(……話し?)」




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