ヘルプへるぷ!
「すんません、しばらくここに置いてください。」
「……小春、こいつ何。蹴る?」
「いやん、蹴っちゃダメよユウ君…!せめての右ストレートならおっけ!」
「全然おっけーちゃうわ!なあ、頼むって…!ほんま俺、あのクラスおりたないねん!!」
朝、クラスへ行くと何故かクラスの雰囲気がどんよりとしていた。……何故?ことの原因を探ると、どうやらダブル白石の仲が悪くなったらしい。
一体何が起こったかなんて俺にはわからん。せやけど、変態の白石ときたら眼鏡とかかけだして参考書片手に読書しとるし、アホなほうの白石は女友達とわいわい騒ぎながらトイレへ行ってまうし。……何、この状況。いつもダブル白石はくっついとるんに…きもいなあ。
どうやらその心境は他のクラスメイトも一緒らしく、みんなある意味怯えている。…明日世界が終わるだの、空から隕石がふってくるだの…。
それぐらいみんなを巻き込むこのダブル白石。ほんま迷惑きわまりないで…!2人の仲の手助けしてやろー思うけど、こうもバラバラに行動されたらもともこもない。
…っちゅーか、話しかけれる雰囲気やないんやなあ。2人とも…なんや、顔がひきつっとるっちゅーかなんちゅーか。
「謙也君、クラスで一体何あったのん?あ、もしかして蔵リンのダンベル盗んだんでしょ!」
「誰が盗むか…!っちゅーかアイツ、学校にダンベル持ってきとるん?!どこに所持しとんねん、初耳やわ…!」
「あら。知らんかったの?なら今の聞かんかったことにしてね。」
「……はぁ。」
あぁ、でも今はこの雰囲気がものすごい心地いいというか落ち着くというか…。隣におるユウジがなんや、ぎゃーぎゃー騒いどるけど知らん。小春に触るだの近づくなだの喋りかけるなだの…なんやお前。何で男に嫉妬しとんねん、ほんま意味わからんやっちゃ。
「あーもう、謙也帰れやー。」
「なんやユウジ、お前どんだけ俺嫌いやねん…!」
「まあまあ、ユウ君。……っで、一体クラスで何あったのかしら?」
ふっと急に小春が真顔になるから、それに気付いたユウジも発言しなくなった。――えーっと…なんていえばいいんやろ。
「俺もよぉわからんのやけど…ダブル白石が何や、関係わるなったらしくて。」
「……今日は雨やな。」
「うん、確かに今雨降っとるけどな。やなくて、そのせいでクラスの雰囲気がどよーんってなっとんねん。」
「あら…雨の湿気も原因のひとつじゃないの?」
ってか、なんでお前ら2人は雨の話しにもつれこもうとすんねん。雨の話しのくだりいらんねん、ダブル白石の話ししろや…!
なんや、こいつらに頼った俺がダメやった。悪かった。
…千歳に言えばよかったかな。って、アイツどうせ校舎内うろちょろしとるから捕まらんやろーな。普段どこにおるかなんて目星つかへんし……。
「(はぁ、ダブル白石…どないしてん。)」
こういう時ぐらい、頼ってくれてもええんやないの?なんちゅーか…俺、心細いんやけど。
「(はぁ、まあ花子に事情聴取しよーかな。変態のほうの白石は絶対喋らんやろーし。)」