「……先生がいないのかあ。困ったなあ。」


「……うーん…。保健室なんてなかなかこないたいね…ばってん、薬がどこにあるかなんてわからん…。」


そういって、2人で首をかしげて悩ませていると保健室の扉が思い切り開いた。



ガラッ!



「花子!千歳!」


「あ…蔵。」


「おま…なんや、その足首……。」


蔵は私の右足首を見ると、びっくりしたように目を見開いてから私にかけよってきた。



「とりあえず冷やさなあかん!氷袋用意するから待っとってな、」


「あ…。」


私が言葉を発する前に、蔵はあわてたように保健室にある冷蔵庫をあけて氷袋をとりだした。



「これ…当てて。」


「……あ、うん。」


「何があったかは後や。千歳ぇ、手伝ってくれるか。」


「……了解。」


保健室にある薬品などの位置をすべて覚えているのか、蔵は千歳に指示をだしてテキパキと処置してくれる。……気がつけば私の右足首はテーピングやら包帯やらをぐるんぐるん巻きにされていた。



「……OK。とりあえず、足動かしてみ。」


「…足、めっちゃ固定されてる。」


「そんなら大丈夫や。医者やないからよぉ分からんけど…見た感じ、それ捻挫やと思う。それも重度の。」


「……え。」


「……どうやったらこないな足首になんねん。千歳、花子。説明頼む。」



丁度その時、保健室に授業開始のチャイムの音が鳴り響いた。――蔵の突き刺さるような視線が、私の胸をつらぬくようで何故か胸が痛くなった。







処置




「(あれ?忍足ぃー、ダブル白石はどないしたんやー?)」


「(あーせんせぇ、なんやうっさいほうの白石は下痢で変態のほうの白石は吐き気するっていってトイレいってもーたわー。)」


「(あ、そうなんか。なら授業始まるでぇ。)」








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