「……39.5度。高熱じゃんか。」


「ううー…クラクラする…あかん…ゲホゲホッ。」


あの後蔵を強引に保健室につれていき、熱を測らせたら38.4度だった。学校の授業を終えて、私が蔵の家にやってきた今は39.5度。――もっと早くに早退させてあげればよかったのだ。



自分の過ちに罪悪感がわいた。



「うー…頭痛……っ、」


「寝てなよ。私がおかゆ作るから。」


「ううー…おかゆやなくっていちごケーキがいい…。」


病人が何言ってんだ。病人らしく寝てなさい。」


「っち。甘いもんはダメやったか……。」


舌打ちが聞こえた気がするが、無視して私は台所へいった。蔵の家は全体的にピカピカで綺麗。なんかむかつく。外見も中身も完璧って…!

しかも姉も妹も超美人ってなんだよ。信じられない。まあひとつ欠点といえば、姉も妹も超ドSなことだろうか。


一度2人と会ったことがあるが、その日一日中人形のように振り回された。あれやこれやと着せ替え人形みたいにゴスロリの服やチャイナ服(何故ある…。)を着せられ、メイクをさせられ、抱きつかれたりほっぺにチューされたりした。

決してレズではないらしい。(姉も妹も両方彼氏がいるそうだ。蔵情報だが。)




「……はてさて、おかゆつくろう。」

私は制服の袖をまくると、早速カチャカチャと必要な道具や材料をとりだす。……学校ではあれだけ「おかゆたべたーい」っていってたくせに、何がいちごケーキだ。作り方わからねぇよ。



「……えーっと、これをこうしてー…」



少し時間はかかったが、おかゆできた!完成!味見をしてみたが、味が全くしない。……おかゆってこんなもんでしょ?ね?



「蔵ー!できたよ。」


「んー……。」


蔵の部屋に入ると、寝ていたのか眠そうに目をこすりながら蔵がむくっと起き上がった。



「……食べさせて。」


「やだ。めんどくさい。」


「……誰のせーで風邪ひいたんやろーなー?」


「………。」


卑怯だ!何故ここでそれをだす!むかつくが、これには反論できない。私は仕方なしにおかゆをふーふーしてさましてから蔵の顔の前に差し出す。



「……はい。これでいいんでしょ?」


パクッ



ぎゃあぁぁぁあああっぁぁ!違う!蔵、それ私の手!手食べてるから!!」


「あ……あ、ほんまや。」


「(く…蔵の唇の感触が、手に!手に!)」


何あのぷにぷにしたやわらかい感触っていうか弾力…!あまりにもびっくりしすぎて声が裏返ってしまった。恥ずかしい。


今私は一体どんな顔をしているのだろうか。きっと凄い赤面していると思う。頬に熱がふくんでいるのが自分でも分かった。




「……あー。」


「……え?」


「せやから、食べさせてくれるんやろー?……あーん。」


「………。」


口をあけておかゆを待っている蔵の口の中へ思い切りおかゆを投入。もぐもぐさせてから、蔵が一言。







「何これ、味せぇへんのやけど。


「うっさい我慢しろ。」



もっと料理の腕を上達させておけばよかった。なんて後悔しても仕方がないんだけど。



後悔先に立たず





〜〜〜♪


「(はい、もしもし?)」

『(おう、俺や。さっきは看病してくれておおきにな、おかげで熱37度だいにまで下がったわ!)』

「(え、明日学校くんの?)」

『(え、いくに決まってるやろ?!何でそんな嫌そうな声出すねん!)』



内心ちょっと嬉しいとか思っただなんて絶対言わない。最近の自分はちょっとおかしいらしい。











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