あの後、蔵にチューされてあまりの動揺にグーで殴ってしまった。……でも、いきなりチューするほうも…ねぇ?私が全部悪いってわけやないよね?ね?!


「………お前、女の子がグーで殴るか普通」


「……だって、」


「……まあ、ええわ。これからは俺の彼女やし。みっちり女の子らしくするで!」


……ええ。蔵の彼女になったら女の子らしくならなきゃいけないのか。凄いやだな…なんて思いながらも、内心まだ心臓がバクバクしている。


唇の感触とか、体温とか、ほら、告白の言葉とか…。まだ頭の中に残ってるんだよね、厄介だよね。授業中に不意に思い出しちゃったりとかしちゃったらどうしよう。絶対私にやけてるわ、嫌やー。蔵以上の変態やん!



「じゃ、教室あけるで」


「あ、うん」


そういって蔵と一緒に教室をあけると、がやがやしていたクラスがシーンとなった。



……そういえば、今日は何だかクラスの様子がおかしい。私と蔵の顔を見たらみんな顔青くして逃げちゃうんだよ。意味がわからん。



「……?どうしたの、みんな」


そういって近くにいた男子に首をかしげて聞いてみると、「え?え、ま、まあな!」なんて挙動不審だ。



「あ!せや、俺からみんなに報告があったわ!俺達付き合うことなったから!」



「え、ちょ!蔵!」



「――ほんまかあ?!」


そういって、席を立ち上がったのは謙也だった。――謙也は今までにないくらいキラキラした瞳でこちらに駆け寄ってくる。……なんや、この子どうしたんや。


ピンチ脱出したみたいな、そんな顔してるんだけど。




「……え?あ、うん…」


「ほんまかほんまか!…なら、よかったやん!」


クラスがざわつきはじめたんだが、何だこのざわつき。……みんなの顔色が一気によくなったのは何故?私と蔵が原因?



「……お前ら、よかったなあ…」


「謙也…何であんた泣いてんのよ…」


「ほんま嬉しいっちゅーねん!あ、でもカップルになっても俺の存在忘れんといてほしいっていうか、ほしいっていうか」


そういう謙也に蔵が「わかっとるって」と背中をバンバン叩いた。…カップルになっても、やっぱり3人は卒業するまで一緒だよ。離れるわけないって。



「……なんか、これでハッピーエンドって感じだね」


「せやな。……俺ら、なんだかんだでアホやったよな…」


「……何で蔵にアホ言われなきゃならないんやろか」


いや…アホなのは認めるけど。認めるけど、蔵に言われたくないっていうか、なんというか。




「まあまあ、痴話喧嘩はよしぃや!っちゅーか、W白石結婚したら姓かわらんなー」


「「あ、ほんまや」」


「……息ピッタリやな、っちゅーかそれに気付いてなかったんか、お前ら……」


そういって苦笑いする謙也に目をまん丸にする私達。……ええ!結婚しても私何も名前かわらないのかよ!なんていうか…いいのか悪いのかよくわかんないけど、でも蔵と同じ苗字で生まれてきて出会えたんだからいい意味だ。絶対絶対そうだ、私はそう信じてる。







「……まあ、何はともあれ、謙也。花子に手だしたら鼻フックやで」


「え?ださんださん。っていうか、逆に俺が花子にヤられる」


ヤらんわ。






カップル誕生







「(……っはあー、花子と白石くっついてほんまよかった…)」



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