「(花子…授業、きとらんのか。ほんまに中庭で俺のこと、待っとるんかな。)」


いや、でも、謙也に行かんって言ってもーたし。今更後戻りすることもできん。



花子が俺のことを好きっていってくれたのは、正直に嬉しかった。本当のことをいえば、自分も同じ気持ちで。俺がアイツを友達として見れていないのはもう自分でもよく分かっている。


――せやけど、アイツを彼女にしたらまたアイツは俺のファンに何かされるんやないやろーか。


不可抗力とはいえ、バットで花子の足を捻挫させてもーた。捻挫って、1回してもーたらまた再発する恐れがあるし、しっかり処置せんだら腫れがひかんこともある。…アイツが彼女になってくれるなら夢のような話しや。

せやけど、俺と付き合うことで花子の身に何かあってからじゃ話しは遅い。



……怖い。傷つけたくない。俺…こんなチキンやったっけ?自分でも自分のことを嘲笑いたくなる。



ブーブーブー。



先生の話しもろくに聞かず、物思いにふけていると携帯のバイブが鳴り出した。……なんやねん。携帯をぱかっと開くと、財前からメールだ。





「――……っ」


俺は携帯をすぐにしまうと、先生に「すみません、吐き気するんで保健室いきます。」と適当に口実をつくって教室をでた。










メール







From:財前光
件名:花子さんが
―――――――――


中庭で花子さんが
部長のファンにまた絡まれてはります。
大至急助けてあげてください。


―――――――――



「(財前さ、携帯ピコピコ打ってるけど何してんの?)」


「(秘密。)」


「(ケチっ。)」







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