最後のミーティング
――大会が終わった後、バスで四天宝寺に戻ってミーティングを開いた。
一人一人感想を述べていき、最後には蔵がミーティングをしめくくった。部員みんなが泣いていた。何よりびっくりしたのは、あの財前が泣いていたことだ。
『…み、見んなや。』
なんて顔を隠していたが、財前も感情を表にだすことあるんだなあ。
「おーい、花子!」
「あ、蔵。どないしたの?」
「一緒に帰ろうや。」
「あ、うん。」
こうやって、汗にまみれた蔵と一緒に帰るのも今日までか…。振り返ればあっという間だった。喧嘩したり泣いたり…でも最後には元に戻ってるのが四天宝寺のいいところだ。団結力の強さならそんじょそこらのチームには負けてないだろう。私は胸をはってそう言いたい。
「……あー…疲れたなあ。」
「これからは受験だねえ。」
「まあ、高校も四天ねんけどな。」
「……そりゃそうだけど。」
「はぁ…また花子と同じクラスになったらと思うと憂鬱やわあ。」
「ちょ、なんだその発言。撤回しろ。まだ高校も決まってないのに何でクラスの心配してんの…!高校の心配が先でしょ…!」
「はっはー、まあ高校のことはつっこまんと。俺らがそう簡単に離れるわけないやん、ダブル白石やで?」
「……っ、何その自信。意味わかんないから…。」
ちょっとドキッとした、なんて蔵には悟られたくない。……簡単に離れるわけない、かぁ。そういってもらえると何だか嬉しい。
「まあ…腐れ縁ってやつや。しゃーない、お前俺のこと大好きやからな。」
「誰がいつ好きっていった。」
「いや…知っとんのやで?好きなんに想いを素直に打ち明けれん…っくー!何て奥手なんや、この照れ屋さん!」
そういって、蔵にバシンと背中を叩かれた。……言い方がむかつくけど、まさにそのとおりだから困る。……蔵は、気付いてくれてないのだろうか。
「……好きだけどね。」
「………え?」
「私は…蔵のこと、好きだけどね。」
――言ってから後悔なんて、遅いし取り返しがつかないって分かっている。だけど、このまま友達のままだなんて辛い。どうしたらいいのか分からない。…もういいよね、自分の気持ち伝えたって。
部活も引退したんやし…気が楽な今ぐらい、言ってもいいよね。