「………はぁ。」


「どないしたん、花子?何やさっきからはぁーったらふぅーったら元気ないで?」


「金ちゃん…。」


ふぅーって私絶対言ってないよ…。あ、でも金ちゃん見たらなんか和んだかもしれない。


「よしよしよし。」


「わわわ!何すんのや、いきなり頭なでだしてぇ!」


「いや、なんかつい。」


「つい…?花子ほんまにだいじょーぶかあ?」


……大丈夫、って心配されるほど私は元気がないのだろうか。さっきから日吉と喋る機会をうかがっているのだが、向こうは氷帝。さすがにあの集団の中に入っていくのは辛いし、日吉が1人になる確率だって低いだろうし。――しかも、試合ももうすぐだし喋ってもすぐに話し終えなければならない。

練習試合…終わった後、っていっても氷帝はバスできてるから試合が終わったらすぐに帰っちゃうだろうし…。家帰ってからの電話?それじゃあ誤解を解くのが遅すぎるのではないか。

そんなことを色々と考えていくたびに、どうすればいいのか分からなくなってくる。



「なあなあ、花子。ほら!」


「え?」


油断をしていたすきをついて、金ちゃんが私の両頬をぎゅっと引っ張った。そのせいでびよーんとほっぺがのびて、私は今怪物のようなとんでもない顔になっている。


「いひゃい!いひゃひゃひゃ!」


「あっはっは!すっごい顔…!


そういって大爆笑している金ちゃん。……あのさ、金ちゃん。私、どういった反応すればいいのかな。

顔でウケとっても全然嬉しくないんだけど…ってか、金ちゃんの力半端ないんだけど!全部の頬の肉ちぎりとられるような感じ。容赦ないんだから、このゴンタクレ…!




「おーい、金ちゃん。試合ばいね。」


「お、千歳ぇ!おおきに!あ、花子はよ元気だしーな!」


そういって、金ちゃんがバンッ!と私の背中を叩いた。あまりの威力に、思わず私は前へ屈みこむ。……いてぇ。何で手加減しないんだよ…。



「……大丈夫か、花子。」


「……うん、大丈夫。」


「……今のはかなり痛いばいね。まったく…金ちゃんには力加減っていうものを教えていかんと…。」


そういって千歳が私の腰をさすってくれる。……これ、他の人からみたら腰さすってもらってるおばあちゃんみたいな図になってるんじゃないだろうか。


何しにきたんだろう、私。練習試合のお手伝いしなきゃいけないのに。




「………うう、ごめん、千歳…。」


「いや…そんな半泣きにならんでも…。」






元気だして





「(よし、じゃあ私はみんなのドリンク作りにいってくる。ありがとね、千歳。)」


「(どういたしまして。)」



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