「宍戸さん!花子さんを発見しました!」

「っち、待ちやがれ!」

捕まってなるものかぁぁぁああぁぁあああああ!


どうしてこんな展開になったのかは、およそ10分前の私の発言にある。




鬼ごっこ




「沖縄いーなー。」

部員が部室で着替えている中、平気で私は椅子に座って大きな薄型テレビを見ていた。…どうやら沖縄特集で、元気な男のリポーターさんがいろんなところを紹介しているようだ。

「沖縄とかあっちーじゃん。」

「何岳人!分かってないなあ、沖縄っていったら紅芋タルトにちんすこう、さーたーあんだぎーとかソーキそばとかゴーヤチャンプルとかラフテーとかタコライスとか美味しいものたっっっくさんあるんだからね!」

「……お前食べ物のことしか頭にねぇのかよ。」

岳人は呆れたようにため息をついた。……私だって観光地めぐったりしたいなとか思ってるよ?!けど、食べ物>観光地っていう方程式が私の中で出来上がっているんだ。いいなあ、沖縄…いきたいな、沖縄……。



「あーん?なんだお前、沖縄にいきてぇのか?」

「……何、跡部。馬鹿にしたような目やめてくれる?」

「っふん…沖縄なんざいくらでも連れてってやるよ。」










うぉおおおおっしゃああっぁああ!マジか?!マジでか、跡部?!」

「…あぁ、ただし条件がある。」

「……っは?条件?」





「俺様たちに鬼ごっこで勝ったら連れてってやるぜ?」


そういって、跡部が鼻でふんっと笑った。







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「見えない臓器の名前は」
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