「ちょっと、じろちゃん…いくらなんでもあんな態度しちゃ駄目だよ」
私の腕をぐいぐい引っ張るじろちゃんにそう言うと、じろちゃんがピタリと足をとめてうるうるな瞳で私を見つめてきた。え!何この状況?!
某CMのチワワみたいなんですけどォオオ?!
「………ごめんね、花子ちゃん、」
「え…?」
「俺…花子ちゃんとられたくなくって、つい……」
「じ…じろちゃん……!」
腰にぎゅっと抱きついてきたじろちゃんをヨシヨシとなでてやれば、しがみついている腕に更に力が入る。
ぐぇっ!ちょ…腰に巻きつきすぎだから!腰絶対痛めるから!
「ちょ…じろちゃ……痛……っ」
「あ…あ、ごめん、花子ちゃん!大丈夫〜?」
「一応…大丈夫だけど……」
キラキラな目で顔をのぞいてくるじろちゃんがたまらなく可愛い。あああああもう!私の理性、保って!
「(……慈郎の演技力、相変わらず凄いなあ)」
私とじろちゃんのやりとりを、かげで分析している眼鏡がいることに気付くのは10分後だった。